例えば、中日ドラゴンズ。現在、主力選手は40代がずらりと並ぶ状態。そこで、球団側が一気に世代交代を進めたいと思っても「若手選手が育ってこない。ベテラン選手もやる気満々」という状況です。おそらく、このままではベテランとの世代交代は大して進まないことが予想されます。仮にこれから数年間、ベテランがレギュラーを維持したままのチーム編成が続いて、あるとき一気に引退したなら、中日の戦力ダウンは著しいものになるでしょう。時間をかけて、徐々に世代交代が進んでほしいのがチームの本音ではないでしょうか。

 まさに世代交代を「先送り」することは、将来的の大きな損失につながるのは明らか。誰かが取り組まなくてはなりません。監督の責任は重大であり、ときには周囲の批判に晒される覚悟が必要かもしれません。そんな世代交代は、スポーツ界だけでなく職場でも起こり得ます。しかも、最近の景気回復に合わせて若手社員の採用が増えたことで、

「いい機会だからベテラン社員との世代交代を進めよう」

 といった意図の人事が行われる職場が増えています。

 取材したある金融機関では、最近、例年の倍以上もの数の新卒採用を行い、同時に支店長の若手抜擢とベテラン支店長を本店の専門職へと異動させる世代交代が行われていました。また、ある食品メーカーでは「部長職は55歳を超えたら、若手に役職を譲る」という暗黙のルールをついに明文化。若手部長職の抜擢と55歳以上の部長職が子会社へ出向となる人事が発表になりました。若手社員の採用増は、社内の新陳代謝を加速させるきっかけになったようです。

若手との世代交代が「不安」「不本意」
ベテラン社員の言い分も

 さて、こうした世代交代に関して、交代を余儀なくされた立場の人はどのような気持ちなのでしょうか?

 取材した外食業界のある会社では、店舗オペレーションに関わるスーパーバイザーの世代交代を一気に行い、ベテラン社員を開発部門へ異動させる人事を行いました。若手社員の採用数も増えたうえに、時代にあったサービス提供のためには若返りが必要と経営陣が考えたからのようです。ただ、長年店舗オペレーションに関わってきたベテラン社員はさみしさに加えて、会社の判断に不安を感じている様子。