「向こう三軒両隣」ともいわれるように、日本でも昔はご近所さんとの付き合いが深く、家族同士の交流はとても重要なものと考えられていました。そんな考え方は、現在の職場にも当てはまるかもしれません。
江戸時代の庶民が暮らした長屋でつながった住居は、お互いのプライベートなどほとんどありませんでした。なぜなら、両隣の会話が丸わかりのあけっぴろげな環境だったからです。そして、現代のオフィスも、向かい合った机の集合が島を形成する「島型レイアウト」なら、実は長屋とそう環境が変わらないともいえます。社員同士が向かい合って座り、視線もよく合う距離で仕事をしていれば、それだけ個人のプライベートは確保されていないです。ですから、ご近所の同僚と相性が悪ければ、最悪な時間を毎日過ごさなければならないことになります。
では、そんな状況に陥った場合、どのように対処すれば良好な“ご近所付き合い”ができるのでしょうか?今回は、職場のレイアウトと席替えについて考えてみたいと思います。
「隣の先輩がうるさくて集中できない!」
仕事の成果も左右する職場の座席
「今日からよろしく。君の席はここに準備しておいたから」
新たな職場に配属されたとしても、席のレイアウトを見れば、初日から社員それぞれの部署における立場や互いの関係性は明らか。何気ない会話を頻繁にするご近所さん(同僚)の存在や上司との距離で、
・同じ部署における序列
・誰と仕事で関わるのか?
を量ることができます。
上司が声をかけやすい場所には、たいていの場合、期待されている人が座っているもの(怒られやすい人の場合もありますが)。問題児の社員がいた場合、面倒見るのは誰か?そんな役回りもレイアウトに反映されています。
平日に一番長居するのだから、「気軽に雑談できる、ノンビリした場所がいい」なんて悠長に考えてはいけません。自分が仕事をするうえで有効に機能するレイアウトなのか、真面目に確認しておきたいもの。逆に周囲がウザい存在で、邪魔になることだってあります。
取材したソフト開発企業に勤務しているBさん(26歳)は、こう話します。
「つい最近まで、隣の席の先輩社員が聞きたくもない噂話ばかりして仕事に集中できず、困っていました。イヤホンして仕事に集中しようとしても、声かけてくるんですよ」