――どういうことでしょうか?

 たとえば、造船業界は今や、韓国や中国と熾烈な競争をしていますよね。これは、日本で技術を学んだ人たちが、自国の造船業を発展させたからなのです。米国のように、製造業を捨てて金融に力を入れる、というような流れになっているのならまだしも、日本はいまだに製造業で外貨を稼いでいる。人手不足だといって安易に実習生に頼れば、あちこちで造船業界のようなことが起きるのです。

 また、企業からすれば、同じ仕事を3年かけて教えて送り出し、次に来た人に、またイチから教えなければならない。これは非常に効率の悪いことなのではないでしょうか。

 本来、技能実習生は短期的に活用すべきものだと思います。しかし現状は、ある労働組合の幹部が言っていましたが「頼りすぎてやめられない、麻薬のようなもの」となってしまっています。今、三大都市圏の野菜のほとんどは、中国人実習生が収穫しています。彼らがいっせいに日本からいなくなれば、われわれは明日から弁当も食べられないのです。

 さらに、実習生たちは現行制度なら3年、延長されても5年で帰国しますし、家族も伴わない単身勤務です。つまり、労働力としては一定の機能をしますが、日本の人口は増えない。人口減少に対応したいのなら、日系人型、つまり移民受け入れ型の政策を考えていかなければなりません。

外国人労働者を捨てた日本が
逆に見捨てられる日がくる

――実習生たちにとっても、劣悪な環境で働かされることが問題になっていますよね。

 劣悪な労働環境がしばしば社会問題となってきました。しかし、多くの日本人は「それでも彼らは自国で働くよりは、日本に来て外貨を稼ぎたいのだ」と理解しているのではないでしょうか。以前はその通りでした。しかし現在、状況は急速に変わり始めています。