金融緩和政策の本来の目的は、実体経済を成長させることだ。株価や為替レートなどのバブルを煽ることではない。異次元緩和の導入以後2年を経過したいま、これについての検証が必要だ。
現実には、投資や輸出はほとんど増えていない。その意味で、異次元金融緩和政策は失敗であったとしか言いようがない。
本来、金融緩和政策は
投資や輸出を増やすべき
金融政策の効果として期待されるのは、本来は、つぎのことである。
マネーストックが増加し、金利が低下する。これにより、設備投資、住宅投資が増加する。また、海外との金利差が拡大するため、通貨が減価し、輸出が増えて輸入が減る。
このように、金融緩和政策は、投資や輸出を増やさなければならない(金融緩和で円安が進むと物価が上昇し、実質所得が減少するので、実質消費はむしろ減る可能性がある)。
これらの効果がなければ、いかに株価が上昇したところで、バブルでしかない。実際には、以下に見るように、異次元緩和政策の導入以降、設備投資も住宅投資も輸出も増えていない。
したがって、異次元緩和策は、単に資産価格のバブルを煽っただけの効果しか持たなかったと評価せざるをえない。
今後、物価上昇期待が高まるというが、仮に高まったところで、それが投資などの実物変数に影響を与えなければ、無意味である。