電子書籍や音楽配信などの「新しいメディア」がオールドメディアを駆逐している……。メディアを取り巻く環境を見るとそのような印象を受けがちですが、実情は少し異なるようです。今回ご紹介するのは、メディア産業を徹底的に分析した業界人必携の書『情報メディア白書2015』です。
情報メディア産業の動向を
完全に網羅
本書は電通総研が1994年から市販している年鑑で、ダイヤモンド社が2005年版から発行元となっています。この白書制作の意図は、「多様化する情報メディアに関して、産業と利用動向を中心にわかりやすく一覧にする」というもので、変化する産業構造に応じて章立てや構成をときおり変えています。また、巻頭の30ページは「特集」に当てられ、情報メディア産業の最新の動向をおさえています。
これだけまとまった情報メディア産業の統計と解説はほかになく、調査・研究、企業経営、就職活動にも非常に有益な本です。A4判で268ページと大判で読みやすく、図書館やオフィスに備えるべき1冊だといえます。
情報メディア産業の動向は完全に網羅されています。2015年版の構成はこうなっています。まず特集。
特集1 動画視聴の未来形……インターネット動画の現状と将来についてまとまっています。ユーザーの分析から技術や通信の変遷まで詳細に取り上げられています。
特集2 新しいメディアの潮流……情報メディア多様化の現状と変遷について(後述)。
特集に続いて本編は産業別に整理されています。電通総研による分類と並べ方に面白さがありますね。
1 新聞
2 出版
3 音楽
4 劇映画・ビデオソフト
5 アニメーション
6 ゲーム
7 ラジオ・テレビ
8 衛星放送
9 通信
10 コンテンツ・サービス
11 広告
12 通信販売
13 イベント
それぞれの項目に、市場、経営、統計の計数が置かれ、1年間の変化、経年の市場変動、将来予測が分析されています。