――では、韓国経済はなぜ減速してしまったのでしょうか。

 この「韓国型の成長モデル」が機能不全に陥ってしまったからです。今の低成長の原因は、(1)成長の牽引役としての輸出の鈍化、(2)それによる投資の減速、(3)民間消費の伸び悩みです。輸出の成長への寄与度は2010年6.0%2011年7.5%でしたが、14年には1.5%へ低下しています。足元では、輸出は二四半期連続でマイナスとなっています。

 一方で1990年代前半に総じて5%を超えていた消費者物価上昇率は、2014年に1.3%へ低下、足元では0.4~0.5%まで落ち込んでいます。経済の低迷とインフレ率の低下などから、「日本型デフレ」に対する警戒感が強まっています。なぜこうした事態になってしまったか。その背景にあったのが、チャイナショックと円安・ウォン高です。

 従来の成長モデルは財閥系企業のグローバル展開による輸出の拡大と、それに伴う投資の拡大によって成り立っていたのです。これはとりもなおさず、世界経済が安定的に拡大して初めて成り立つ成長モデルです。それが、チャイナショックと円安・ウォン高によって崩れてしまいました。

 輸出の鈍化に加え、所得の伸び悩みと家計債務の増加などによって民間消費の勢いが弱くなり、さらに景気減速が続くという流れになっています。

チャイナショックと円安・ウォン高
が韓国経済減速の二大インパクト

――チャイナショックと円安・ウォン高が韓国経済減速の原因なのですね。まず「チャイナショック」の影響とは、具体的にどんなものですか。

 その影響はいくつか指摘できます。第一に、中国の高成長期に形成された好循環メカニズムの逆流です。中国が二ケタ成長を続けていた時期には、資源需要の拡大と価格の上昇が生じました。それに伴い資源国では輸出が伸び、成長が加速し、それにより消費と投資がさらに拡大しました。さらにこれが、世界的に海運、船舶、掘削機械などの需要を増加させ、韓国の海運や船舶業界はその恩恵を受けたのです。

 ところが、中国政府が構造改革に政策の重点を移し、中国の成長率が低下し始めると、その高成長期の好循環メカニズムは終焉しました。近年ではこのメカニズムが逆流し、資源価格の下落、資源国の成長減速、そして世界経済の減速へとつながりました。とりわけ韓国は、貿易面で対中国依存度が上昇していたこともあり、中国の成長減速の影響を強く受けたのです。

 第二に、中国における過剰生産です。リーマンショック後に中国では、4兆元の大規模な景気対策を行いましたが、それによって過剰生産が生まれ、鉄鋼や石炭製品がアジア市場にどんどん流入しました。これが市況を悪化させ、韓国の鉄鋼・石油化学産業が影響を受けました。

 そして第三に、中国企業製品の台頭です。技術開発、国産化政策、外資の進出などを通じて、中国企業の製品が競争力をつけてきています。低価格のスマートフォンなどで中国企業が市場シェアを伸ばし、サムスンのシェアを奪っていったのです。

 こうして見ると、韓国はチャイナショックの影響を一番多く受けたと言えるでしょう。