会長の後継者問題と
成長鈍化に直面するサムスン
サムスンのカリスマ経営者である、イ・ゴンヒ会長は昨年5月に心筋梗塞で倒れた後、今でも療養生活が続いている。イ・ゴンヒ氏の後継者と見られる、同氏の長男のイ・ジェヨン・サムスン電子副会長は、近日中に正式に会長に就任するとの観測もある。
重要なポイントは、イ・ゴンヒ氏がサムスンを世界のスマートフォン市場でアップルと並ぶ有力企業に育て上げたような力量を、後継経営者が発揮できるか否かだ。
足元のサムスンの業績を見ると、今年1~3月期の売上高は前年同月対比マイナス12.4%の約47兆ウォン(約5兆1700億円)、営業利益は同マイナス30.5%の約5兆9000億ウォン(約6490億円)だった。
売上高・営業利益ともに水準としては高いものの、同社の成長には陰りが見え始めている。その背景には、世界のスマートフォン市場での競争激化がある。アップルのiPhone6と6 Plusの堅調な推移によるサムスン製品のハイクオリティー部門での伸び悩みに加えて、ローエンドの分野ではシャオミなど中国メーカーの追撃を受けている。
サムスンの成長鈍化は、単に同社の問題にとどまらない。同社は韓国のGDPの約2割を稼ぎ出す大黒柱だ。その大黒柱の伸び率が鈍化することが、韓国経済に与える影響は計り知れない。欧米の経済専門家とメールのやり取りをしても、韓国経済の行方に懸念を持つ見方が増えている。