「戦略人事が具体的に行うべき9つのこと」より、今回は、(6)「人を発掘し、育て、活かす」ことから、具体的に社長を育てる方法について解説します。
「人を発掘し、育て、
活かす」後編
「一番できる人」を育てるために、より具体的にはどうしたらいいのでしょうか。
多くの企業では、部長や課長を育てる研修をしていますが、当社では、「社長」を育てる研修をしていることは、第4回でも述べた通りです。
少しおさらいすれば、部長や課長を育てるのと、社長を育てるのでは、実は全く異なります。
極端な言い方をすると、部長や課長は、“決まったことを忠実に実行する人たち”です。これに対し社長は、“自分で考えて決断し行動する人、新しいアイデアを考えて、変革を起こす人”。
日本の場合、決まったことを忠実に実行する人は、たくさんいます。
しかし、自分の頭で考えリスクをとって行動を起こせる人は、あまりいません。ですから、社長になる人は、育てるしかないのです。
サッカーから学んだ
リーダーシップ研修の構造
社長を育てるために当社が行っているのが、「リーダーシップ研修」です。
LIXILのリーダーシップ研修には、
○部長クラス以上向けを対象にしたエグゼクティブコース(Executive Leadership Training)
を筆頭に、
○課長クラス向けのシニアコース「Senior Leadership Training」
○管理職直前の社員向けのジュニアコース「Junior Leadership Training」
○新入社員も含めた一般社員向けのフレッシュコース「Fresh Leadership Training」
があり、毎年300人ほどがこのトレーニングに参加しています。
異なる層ごとにリーダーシップを教えるという考え方は、サッカーから学びました。サッカーには、プロリーグの下に「アンダー16」「アンダー19」などがあり、それぞれの世代からベストな選手を選んで鍛えています。
また、サッカーで「アンダー××」に選ばれていなくても、フル代表になる人がいるように、LIXILでは大器晩成型も大歓迎です。
こうすることで全体の底上げが図られ、代表メンバーになる人たちも早く出てきます。当社のリーダー育成プログラムにもこの発想を持ち込み、新入社員からリーダー教育を実施することで、あらゆる層からリーダーを育成することを目指しています。
当社のリーダーシップ研修は、5カ月から1年以上と長いのが特徴です。
例えばELTのクラスは8カ月の集合研修と約半年のコーチングで構成されていますが、長い期間の研修と1対1のコーチングで、誰が優秀かよくわかります。
そこで優秀だとわかった人には、仕事をさせてリーダーシップを鍛えます。
当社の研修は、ビジネスと直結しているのです。