日本人はもっと世界に目を向けるべきです。常々私は、より多くの人にグローバリゼーションに対して関心を持ってもらいたいと感じています。私は世界のあちらこちらに出掛けることが多いのですが、各国を訪問するたびに、我々が理解している世界と実際の世界とでは全く違うことに気づかされます。

 5年前ほど前から、世界は大きく変わりました。最も大きな変化は事業チャンスが増加し、多様化したことです。これほどまでに世界中に事業機会が広まったのは、グローバリゼーションという言葉が生み出されてから初めてのことだと思います。

 では、このチャンスを捉えるにはどうしたらよいのでしょうか? まずは、世界のどこの国に投資したら最も多くの利益を得られるのか、考えてみてください。米ソ冷戦が終わった後の数年間はアメリカ一極集中の時代でした。しかし今は、そのような状況ではありません。

 鍵となるのはおよそ6000兆円にものぼる「ホームレスマネー」――先進国の高齢者が持っている不要不急のお金――の存在です。このお金はその名が示す通り、世界中を彷徨い、チャンスが存在するならばすぐに国境を跨いで動きます。

 ホームレスマネーをはじめとする世界中のお金が市場に集まると、その市場はこれまでになく一気に活況を呈します。去年、一番上昇した市場はペルーで、上昇率は約70%です。その前年がインド、さらにその前の年はトルコで、その前の7年間をみるとエジプトがいちばん上がっています。

日本は国民の富を剥奪する以外
借金を返せない状態

 グローバリゼーションというのは、実は自分の年金や引退後の生活に影響を与えるくらい生活と密接な関係にあります。かつて、日本国民は政府に対して、「任せて安心!」とばかりに厚い信頼を置いていました。ところが、未統合の年金記録が5000万件もあることが報じられ、社会保険庁の杜撰な記録管理が明らかになりました。この事実に日本国民はショックを受けましたが、むしろ私は、このショックは大きいほど良いのではないかと考えています。