日本企業は米国企業よりも社員の裁量が大きい?ダイバーシティの時代こそ、組織で決まったことには全員で1ミリのズレもなく全力で最高の仕事が求められるPhoto:yuuuu-Fotolia.com

 ダイバーシティ時代になると、どれだけの危機感を持って働かなければならないのか。同時に、どうすれば自分のスキルを高め、貢献できる人材になれるのか。人材研修にも活用できる訓練方法を前回書いた。

 I statement(アイステートメント)とは、各自が自らの考えをまとめ、議論のために提案する思考と発言の基礎スキルである。

 私の行うダイバーシティ講演では、このアイステートメントについて述べるし、研修として、またコンサルティングとしても、アイステートメントの重要性と、その力を高めることを伝えてきている。ダイバーシティとは、1人ひとりの働き手が、チームに多様な視点を加えることができる存在になることがとても重要であるのだ。

 他の人の視点や意見に批評も批判も加えることなく、自分の提案をできる思考とコミュニケーションスキルは、本人に有効なだけでなく、チーム力を高める。しかし、全員が自分の視点を言うという第一段階ができた時、さあ、次はどうするのかという課題がでてくる。

ダイバーシティ時代に必要な
リーダーシップ力とは?

 例えば、アイステートメントというルールで、発言する会議だとしよう。前回のコラムで、リーダーが「この会議室の壁を塗り替えたいと思うので皆の意見を聞きたいが、何色にしたらいいだろうか」という質問をした際、アイステートメントを身につけていたら、

 「私は黄色がいいと思います」
 「私は薄いブルーがいいと思います」
 「私はベージュがいいと思います」
 「私は真っ白がいいと思います」
 「私は紺がいいです」
 「私は白とピンクのストライプがいいです」

 と、各自が発言すると書いた。では、リーダーは、この会議で全員の意見を聞いた後にどうしたらいいだろうか。