構造図を成す4つのパーツ

 今一度、前ページの図を見てください。これは、中央の「戦略策定」を中心に4つのパーツからなっています。

 中央に「戦略策定」が、下に「戦略実行」が、左側に「外部環境」、右側に「経営資源」が位置し、4つの固まりから成り立っています。

 これはつまり、自分たちが目指すべき姿を表現した経営理念に沿った形で戦略が生まれ、それが実行されるという流れを示しています。

 左側の「外部環境」は、顧客や競合企業、あるいはもっと広く経済のグローバル化や人口の変化など、自社をとりまく環境を表します。

 右側の「経営資源」は、戦略の土台となる自社の資源(リソース)のことです。製造業なら工場などの施設や生産のノウハウがありますし、特許や人的なリソースなども当てはまります。

 つまり、真ん中の2つの戦略が、外部環境にも、また自社の経営資源にもフィットしたものであるべき、ということが左右の関係で示されています。

 このように説明すれば、「何だ、そんなことか」と思われるでしょう。
 ただ、抽象的な内容であり、普段の仕事では考えたこともない人がほとんどだからでしょうか、スンナリと頭に入る人はなかなかいません。

構造図が頭に入っていれば、打ち手が発想できる

 しかし、戦略の構造図が書けなかった受講生に、「自動車の構造は?」と質問すると、ほとんどの人が下の図に近いものを描くことができます。

 さて、この自動車の構造図をもとに「究極のエコカー」を作るとすると、どうしますかと質問します。

 すると、「エンジンをハイブリッドにして、ボディを軽くします」くらいの答えは、普通に返ってきます。

 でも、ハイブリッド化と軽量化だけでは、打ち手は不十分です。詳しい人なら「空気抵抗を減らして重量を減らす。変速機の効率化を図り、電気や熱の無駄をなくして、タイヤも抵抗の少ないタイプに替えます」などと、総合的で一貫性のある説明をしてくれます。