紙の新聞では上記の3つをうまく組み合わせて販売してきました。「消費情報」であるテレビ欄や人生相談、「投資情報」である株価情報、「公共情報」である政治の動向や社会問題などです。これらは新聞紙としてパッケージで販売されていましたが、ネットに新聞の情報が掲載されるようになると、パッケージは崩れ、それぞれバラバラになってしまいます(アンバンドル化)。

 新聞社にとっては悪いことに、インターネットが普及する過程において、テレビ欄はテレビ自身のなかに機能が取り込まれました。人生相談は「Yahoo!知恵袋」「大手小町」、株価情報は証券会社が自ら発信するアナリスト・レポートにとって代わりました。読売新聞社が運営する「大手小町」は「消費する情報」として競争力を持ち、スマートフォン向けに有料サービスを展開していますが、こうした成功例はまれで、ネット時代になって新聞社の得意分野が次々と陥落していったのです。

情報にお金を払わない人は
「なんてことのない記事」しか読めなくなる

 すでに速報が無料で流通しているなか、3つの情報をそれぞれ横断する形で、新聞社や出版社のコア・コンピタンス、つまり他社では真似できない自分たち自身の強みは何かと考えた時に、残ったのは時事問題にプロの視点を提供する「論評」と「解説」、そして社会の不正を告発したり、世に出ていない事象を世に問うたりする「スクープ」でした。これは伝統的な報道機関にとっての「虎の子」です。出版社が発行する雑誌で言うと、見開きで展開される鮮やかな図表だったり、企業の年収ランキングだったり、路チュー動画だったりします。

 すべての記事をインターネットに無料で公開したら、新しい「課金ビジネス」が成り立ちません。そういうわけですから、日本経済新聞や朝日新聞をはじめ、ほかの出版社もニュースキュレーションアプリやウェブポータルに記事を配信しているものの、新聞紙や雑誌に掲載されている記事すべてがネットに配信されているわけではないのです。

 マスメディアとなったキュレーションアプリが、インターネットにおいて圧倒的な流通力を持っていることについては、前回見てきたとおりですが、有料記事を圧倒的な販売力で売りさばいてくれるプラットフォーマー(圧倒的な流通網)がない以上、新聞社自身が設定する有料版という“囲い込み”は、プラットフォーマーに依存しないビジネスとも言え、一縷の望みをつないでいます。