2014年2月のマウントゴックスの破綻で、日本のマスメディアは、あたかもビットコインそのものが破綻したかのような報道を行なった。もちろん、これは誤りである(野口悠紀雄『仮想通貨革命』第1章の2参照)。

 これら一群の報道によって日本で低下したビットコインへの関心が、最近、再び高まってきたように思える。

日本でもやっと高まってきた
ビットコインへの関心

 2013年の暮れ頃にビットコインへの関心が高まったときには「物珍しさ」が先に立っていた。しかし、最近では、ビットコインの将来性を理解した上で、それを実際に活用しようとの意識が芽生えているように見受けられる。日本でもようやくビットコイン・ビジネスが始まり、関連産業が成長する可能性が出てきた。

 楽天の三木谷浩史社長は、14年7月、福岡市内の講演で、ビットコインを決済手段として検討していると発言して、注目を集めた。

 楽天は、15年2月に、楽天金融カンファレンス2015「ビットコインの台頭」を開催した。

 『日本経済新聞』(電子版、15年1月28日)が報じたところでは、リクルートホールディングスが、傘下の投資会社を通じて、ビットコインの売買を手がけるベンチャー企業「ビットフライヤー」に出資した。同社の技術を活用して、ビットコインを使った決済サービスや、ビットコインの情報サイト開設といった関連事業の創出を目指すとされる。

 『日経ヴェリタス』(14年9月14日)によると、ビットコインの周辺業務を行なうベンチャー企業がいくつか誕生している。

「コインチェック」が提供するサービスでは、客はビットコインで代金を支払うが、店は売り上げを円で受け取れる。

「コインパス」は、ビットコインだけでなく、リップルなど他の仮想通貨も使えるネット決済サービスを開発している。

 ただし、これまでのところ、日本でビットコインを利用する環境は整備されていない。ビットコイン・エクチェンジ・ガイドは、世界の両替所の格付けをしているのだが、そこで評価されているのは、Coin.MX、コインベース(Coinbase)、ビットスタンプ(Bitstamp)、クラーケン(Kraken)、BTC、クリプトシー(Cryptsy)だ。ここで評価されている両替所が扱っているのは、米ドルが中心である。有利な条件で日本円との両替が行なわれているとは言い難いのが現状だ。