子どもを抱えて
仕事をするのは「ハンデ」?

 男性にとって分かりにくい話かもしれないが、男性だって同じだ。なぜ男性は権利として認められ、政府から奨励すらされているはずの育休を取れないのか(男性の育休取得率はわずか2%(※))。その権利を主張することは同調圧力に反することで、自分を弱者の立場においての反抗に見えるからだ。

 妊娠中につけるマタニティマークがあるが、つけることに躊躇を感じる女性もいるという。マタニティマークをつけたまま電車に乗ると、舌打ちや押されるなどの「嫌がらせ」を受けることがあるからだそうだ。ある種の人にとっては、マタニティマークが「弱者の主張」であり、わざわざ主張されることが厭わしいのだろう。

 子どもを抱えて仕事をすることは、誤解を恐れずに言えば「ハンデ」だ。ベビーカーを押す、抱っこして歩く、いつ走り出すかわからない子どもの手をつないで歩く、機嫌の悪い子どもをなんとかなだめる、熱を出すか出さないかいつもヒヤヒヤして過ごす、保育園までのお迎えの道を急ぐ。でも、それをハンデだと口にせず、当たり前の顔をして仕事と両立することを求められる。

 なぜなら、これまでの日本で「お父さんたち」は子どもができる前とできる後で働き方を変えたりしなかったから。権利を主張すれば、「それって自分だけ求めすぎてない?」「ワガママじゃない?」「出世コースを捨てたね」と思われるかもしれない。そう判断されることを恐れる。

 会社はなかなか気づかない。悪気がなくても気づかない。普段、部下とコミュニケーションが取れているはずの上司でも気づけないこともある。どうすればいいのかの答えは、声を上げていくこと、行動することしかないのだと思う。声を上げなければ弱者の声はなかったことにされる。

 ランクアップには「改善提案制度」があるという。商品に関することから、社内環境、福利厚生まで、社員が誰でも改善提案を行える。改善提案の用紙に記入して提出すると、採用不採用に関係なく500円をもらえる。「日本一幸せな会社」と言われた未来工業にならった制度だ。工夫する会社は、社員の意見を汲み上げる方法を一つだけではなく複数用意する。

 社員は恐れずに意見を言う。「そんなことできない」なら、会社は変わらない。会社もきちんと意見を汲み上げる。いくらやったからといって「もうこれで充分」とは思わない方がいいのだろう。

 ちなみに、こういう話を書くと「弱者ぶって過剰に権利を主張し、自分だけ得している人が私の会社にはいる。子育て世帯の苦労はわかるが、ああいう人は許せない」というようなコメントを受け取ることがある。多くの人は善良だ(と思いたい)が、中にはそういう人もいることは私も知っている。次回はそんな例について考えてみたいと思う。

※平成25年・厚生労働省『雇用均等基本調査』による