

品川女子学院は昨年5月に高校2年生205名全員に一人1台のiPad miniを貸与。その際、「ビジネス版のEvernote」を学年として契約したことが話題を呼んだ。
Evernoteは文字・写真・音声などを含む「ノート」をアップロードし、複数人で共有可能なクラウド型サービス。基本機能は無償だが、月間にアップロードできるノートの容量増加や追加機能などを有償オプションとして用意する「フリーミアム」ビジネスモデルだ。このほか、同校では全員がGoogleのアカウントを持ち、Google Appsを日常的に使える環境にある。また、生徒はiPadに学習や生活に効果的な様々なアプリを自身で導入して活用している。
同校のクラウドサービスの利用シーンとしては以下のような例がある。
・クラウド上のノートに複数人で学習内容をまとめ、相互に学習を深める(上の写真)
・学校がシラバス(授業計画)をEvernote経由で生徒に配信
・授業解説動画をYouTubeに限定公開でUPし、そのURLを生徒に共有
・学校が配布するプリントを生徒がiPadのカメラで撮影・補正してクラウドに集約
品川女子学院ではiPadの持ち帰りや授業外利用も可能としており、生徒も教員もクラウドを学校内の知識や知恵を共有し、更に深い学びを生み出すツールとして活用している。あくまで目指すところは「生徒が主体的に学び、解決策を考えること」であり、iPadやクラウドは手段の一つにすぎないという位置づけだ。
その活用の最たる例が、同校の特色である文化祭での「起業体験プログラム」でのITの活用だ。起業のための事業計画作り・アイデア集約・実施計画策定・振り返りなど、あらゆるシーンでクラウドとITが活躍しているという。もちろん、従来のアナログ手法でもこうした学びは不可能ではないが、ITによってより深く、最新の情報をもとに、リアルタイムで情報共有しながら学ぶことで、同校のアクティブラーニングはさらに高い次元に進むことが可能となった。
彼女たちは現在高校3年生になっているが、その環境とノウハウは一つ下の高校2年生に継承されたほか、高校1年生については学校からの貸与ではなく各家庭で購入したものを学校に持ち込んで使う「BYOD型」を導入。クラウドとICTの利用促進体制が加速している。
神奈川県の男子上位進学校である聖光学院でも、一部で「教育へのクラウド活用」が開始されている。同校は最初の一歩として、品川女子学院に紹介される形でクラウドツールにEvernoteを選定。エッセイ・面接などを経て選抜された生徒約20名に、米国シリコンバレーへの短期研修の事前準備用としてEvernoteのアカウントを用意した。