小高い丘を滑り降りる男の子たち。小さな手足で木登りのごとくウンテイを上り下りする女の子。寝そべったり、かけっこしたり…。子どもの元気な声が響くのは、都内のオフィスビルの一角にある保育施設だ。
女性の社会進出促進が掲げられる一方で、未だ解決の目処が立たない待機児童の問題。加えて、都市部では「託児所に適する広い敷地が確保できない」「保育園を運営するには維持コストが高い」といった課題もある。こうした都内の保育施設が抱える課題やニーズを満たそうとしているのが、株式会社グローバルキッズ(東京都千代田区)だ。
グローバルキッズは、2006年に認証保育所の開所•運営を開始した。現在、東京都と神奈川県を中心に、認可保育所や認証保育所、学童クラブなどグループ全体で83ヵ所の施設を運営する。15年4月時点で児童数は3500人以上。約1600人の職員が在籍している。
グローバルキッズの運営する保育施設の特徴は、都市部の高層ビル内に保育所を構えていることだ。近年、女性の社会進出に伴って、オフィス近くの保育所のニーズもある。同社はオフィスビルの一角に保育施設を設置することで、こうした都市部の子育て環境の課題に応えようとする。
しかし、あくまでもビル内の施設。子どもの成長に適した遊び場や、自然とのふれあいなど、発育に適した空間や機会を与えることができるのか。
実際に、筆者の知人であり、都内のビル内保育施設に子どもを通わせる保護者に聞くと、「園の近所の公園が園庭代わり。公園までの道のりは自転車や車の往来もあるし、不審者も気になる。できれば園庭がある施設がいい」「特に運動量の多くなる3歳児以上になると運動不足が気になる」といった声も聞く。
では「グローバルキッズ」は実際に、どのような解決策を講じているのだろうか。まず、子どもたちの遊び場の確保。同社の運営する保育所では、オフィスビル内にもかかわらず、室内に砂場やブランコ、滑り台、プールといった、屋外の園庭と同様の遊具を備えた施設をデザインし、全身で遊びたい子どもたちと、のびのびと過ごしてほしい親の気持ちに寄り添う環境づくりを目指す。