日本貿易振興機構(JETRO)オフィシャルサイトでは、「イスラム諸国へ輸出する『ハラール商品』の『ハラール性』を確保するためには、製品自体のみならず、輸送、原材料保管、運搬、製造工程、包装、製品保管、流通などすべてにわたり『ハラール性』が保たれていることが要求される国もあります」(「ハラール証明の取得手続き」頁から引用)とも記載されている。

 一方で、イスラム教徒が飲食店で提供される料理や加工食品がハラール対応しているかどうか、自分で確かめることは不可能だろう。そのため、彼らが見るのは、イスラム法の定める適正な方法で処理・加工された食品であると証明される「ハラールマーク」だ。これが表示された食品や店であれば、安心して利用できる。

 つまり、イスラム教徒の巨大市場でビジネスチャンスを得るためには、「ハラール対応」を徹底しなければいけないということだ。日本国内でも、「ハラール」に対応する取り組みが広がりを見せている。

 その1つが、ハラール認証の取得である。2013年9月には関西国際空港で、2014年6月には成田国際空港でハラール認証レストランがオープン。7月21日には常陸農業協同組合(JA常陸)が地元産の米を使った米発酵アイスや米、ヨーグルト、くりジャムの4品目でハラール認証を取得し、話題を集めた。この他にも鉄道会社や飲食店、地方など幅広い業界で、ハラール食対応の動きが進んでいる。

東京五輪の開催決定後に急増
イスラム圏から押し寄せる観光客

 では、日本国内でハラールマーケットはどう変遷してきたのだろうか。「5年ほど前からハラール対応の動きが目立つようになりました。顕著になったのは東京五輪開催決定後の2013年頃からですから、ここ2~3年のことでしょうか」と語るのは、NPO法人 日本ハラール協会の副理事長・松井秀司氏だ。

 確かに、日本政府観光局(JNTO)の「国籍/月別 訪日外客数(2003年~2015年)」を見ると、直近2~3年以降、アジア地域を中心としたイスラム圏からの訪日外客数の増加率は高い。