夏の高校野球が6日(木)に開幕する。
甲子園で展開される球児たちの真剣勝負には全国から熱い視線が注がれるが、今年は例年にも増して注目度が高いようだ。
全国高等学校野球選手権の前身、「全国中等学校優勝野球大会」の第1回大会が大阪・豊中球場で開催されたのが1915年。今年はそれから100年の節目に当たり、主催の朝日新聞社や中継するNHKはもとより、多くのメディアが高校野球の話題を取り上げ、盛り上げを図っているからだ。
100周年の今大会で起こった
不思議な巡り合わせ
大会では100周年を記念したイベントも企画されている。まず第1回大会に出場した10校の復刻ユニフォームを作成。その歴史を受け継ぐ高校の現役部員が着て入場行進をするという。また、開幕試合の始球式は夏の甲子園で活躍し、プロ野球選手としても日本が誇るレジェンドになった王貞治氏が務める。
主催の朝日新聞社は100周年記念メダルやTシャツなどのグッズを販売。また、なぜか造幣局も100周年記念の貨幣セットを売り出すという。NHKでは過去の名勝負・名場面を各都道府県別に振り返るドキュメンタリー『高校野球100年のものがたり』を放送。主要出版社も高校野球100年の歴史をテーマにした本を相次いで発行しているし、スポーツ新聞各紙も同様の特集ページを作っている。
これらは意図して盛り上げを図っているわけだが、今大会では意図を超えた不思議な巡り合わせも起こっている。第1回大会の優勝校・京都二中は現在の京都府立鳥羽高校。昔から京都は私立の平安(現・龍谷大平安)が強さを誇っていたし、最近も京都外大西や福知山成美といった私学が力をつけ、この14年間、公立校の出る幕はなかった。ところが今年は鳥羽高校がノーシードからあれよあれよと勝ち上がり、15年ぶりに甲子園出場を決めた。鳥羽高校は京都二中時代を含め全国大会は6回目の出場だが、記念すべき第1回優勝校が100年後の聖地に姿を見せるミラクルを起こしたのだ。
それだけではない。第1回大会でベスト4まで勝ち上がったもうひとつの高校も出場する。早稲田実業学校高等部、早実である。早実といえば言うまでもなく始球式を務める王貞治氏の母校だ。荒木大輔、斎藤佑樹といった甲子園を沸かせたヒーローも数多く輩出している。そして今年の早実には野球ファンなら誰もが注目する怪物1年生・清宮幸太郎内野手がいる。