第2スエズ運河両岸に誕生する都市は
「第2のドバイ」の期待を抱かせる

 エジプトの故・ナセル大統領が「アラブの英雄」として讃えられるのは、1956年に勃発した第2次中東戦争で勝利をおさめ、スエズ運河を英仏の手から奪還して国有化してみせたからだが、シーシ大統領が推し進めた第2スエズ運河計画はまさにナセルに学んだ英断だと言えよう。

エジプトの重要な外貨獲得手段のひとつであるスエズ運河の通航料収入は、3~5倍に増加すると予想

 現在のスエズ運河の通航料収入は年間55億ドル程度だが、この工事によって運河の通過時間が22時間から11時間に短縮され、通航船舶数は3倍~5倍に増加すると見込まれており、それに伴って通航料収入は2023年までに150億ドルにまでアップすると見積られている。つまり、シーシ大統領はエジプトの安定的な経済発展の基盤として、スエズ運河からの収入増加を考えたのである。

 第2スエズ運河の完成にともない、通航料収入が3倍~5倍に増加するだけでなく、運河の両岸にはやがて近代的なオフィスビル、国際会議場、ホテル、ショッピングセンター、アミューズメントパーク、そして各種の教育施設やハイテク工場が建ち並ぶ新たな都市が誕生することになる。「第2のドバイが誕生!」と評する海外のメディアもあるようだ。

 エジプト政府は既に諸外国の企業に対して運河の両岸の土地の賃貸を提案しているが、真っ先にこの提案に飛びついたのが中国である。続いてヨーロッパや湾岸諸国の企業群が手を上げており、いまエジプト経済はヒートアップしている。

 なにしろこの国は若者が多くて労働力人口に恵まれているし、労賃も相対的に安い。しかも大学卒業者が多く、多くの若者は英語をはじめとした外国語に秀でている。海外の企業にしてみれば、優秀な人材の現地雇用に不自由しないということだ。

 第2スエズ運河はシナイ半島に近く、そこには国際会議場として有名なシャルムエルシェイクをはじめ、いくつものリゾート地があり、ちょっと足を延ばせばピラミッドやスフィンクス、そしてカルナック神殿やアブシンブル神殿などが待ち受けている。私の知り合いの現地ディベロッパーや観光業者のもとには、各国の企業からの「タッグを組みたいのだが……」という相談が次々に舞い込んでいるそうだ。

シーシ大統領はいま世界が求める
剛腕政治家の一人

 私は過去40年以上にわたり中東地区の雄・エジプトの定点観測を続けてきたが、今のエジプトは過去のどの時代と比較してみても、最も高い可能性を感じさせてくれる国家だと言わねばならない。

 なにより特筆されるのが、強力な指導者であるシーシ大統領の存在だ。