民主党の航空行政に、火種がくすぶり続けている。発端は、昨秋前原国土交通相が「羽田空港のハブ化」を示唆する発言をしたことだ。最近では、乱立する地方空港の危機が相次いで報道されていることもあり、「ビジョンなきハブ化」ばかりを議論する政府に対して、不満の声が噴出している。空の国際化のためになくてはならないハブ空港だが、日本のケースではどこに問題があるのか? ハブ空港問題の本質を改めて見極めよう。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)
大臣発言の火種がくすぶる航空行政
「ハブ空港」が生み出すメリットは?
羽田空港を24時間運用の国際ハブ空港として整備したい――。前原誠司・国土交通相がそんな意向を明かしたのは、昨年10月のことだ。
ハブ空港とは、広域航空路線網の中継地として、世界の空港と空港とを結ぶ中枢機能を持った空港のことを指す。
成田、関西、中部の3空港を国際拠点としてきたこれまでの日本の航空を考えれば、この発言はマニフェストにも挙がっていなかった“抜き打ち”の大転換政策と言える。「国際線は成田空港、国内線は羽田中心」という、これまでの「内際分離」の原則が崩れてしまいかねない。
この発言を受けて、成田空港を擁する千葉県の森田健作知事や、関西空港のハブ化を模索していた大阪府の橋下徹知事らが、地元のポジション低下を危惧して不満を露にした。
現在、騒動は収束しているが、羽田のハブ化問題は連日メディアを賑わせ、JAL破綻と共に航空行政に大きな注目が集まるきっかけを作った。
それに加えて、最近とみに取り沙汰されているのが、「地方空港の危機」である。
破綻したJALの路線廃止騒動で揺れた静岡空港や、「首都圏第三空港」を目指して先日華々しく開港したものの定期便の呼び込みに苦戦している茨城空港など、「運営に不安を抱えている」と言われる地方空港は、後を絶たない。
地方空港は、地元の利権意識と深く結びついていることもあり、増設し続けた赤字空港に何ら手を差し伸べず、大規模空港のハブ化ばかりを唱える政府の姿勢には、今後も不満が噴出し続けると思われる。