麻生内閣は、あす(9月25日)、皇居での認証式を経て正式に発足する。

 今回も、毎日、産経、北海道の3紙から、新内閣の呼称を求められた。

〈花と龍内閣〉
〈義理人情内閣〉
〈高倉健内閣〉

 内閣の顔ぶれだけをみて回答すれば、必然的にこうなる。党役員人事は党内のバランスの上で成立している。だとすれば、閣僚人事こそが「麻生カラー」を発揮する場である。

 実はこの名称は、藤本順一氏の受け売りである。藤本氏はベストセラーとなった『とてつもない日本』の編集にかかわり、麻生新首相と同じ福岡・筑豊の出身、麻生選対のあった「ホテルオークラ東京」のペントハウスで連日取材をしていた政治ジャーナリストだ。

 「麻生さんのカラオケの十八番は『花と龍』。村田英雄の歌うそれを愛唱している。1969年に封切られた同名タイトルの映画の主役は高倉健。仁侠映画ではあるが、度胸と人情に彩られ、時代と地域を見事に反映している。筑豊では高倉健のような侠気(おとこぎ)が尊ばれる。麻生さんもまさしくそうしたことに憧れ、政治活動の軸に据えてきた」

 藤本氏の言う通り、「花と龍」こそが麻生新内閣の本質だとすれば、確かに、今回の閣僚人事にも合点がいく。「花と龍」で入閣した顔ぶれを振り返ってみよう。

 番頭格は鴻池祥肇氏。麻生氏とは日本青年会議所(JC)の頃からの付き合いだ。前出の藤本氏が証言する。

 「二人の関係は極めて古い。約35年前、麻生さんがJC会頭に立候補した時、圧倒的少数だったにもかかわらず、侠気をみせて応援に回ったのが鴻池さんだ。結果、麻生さんはJC会頭に当選した。それ以来、本当に麻生さんを支えてきたのは鴻池さんだ」

 麻生政権誕生の真の立役者である鴻池氏だが、総裁選では決して表に出ようとしなかった。選挙戦序盤の新宿西口での街頭遊説の際もそうだった。
多くの国会議員が先を争ようにして、遊説カーに昇り、マイクを握ろうとしていた時、鴻池氏は、遠く離れた聴衆の中に一人立ち、ただ演説の様子を眺めていた。