まさに今次の中国と同じような通貨安政策であり、依然失業率が高水準であることを考えれば、中国に負けじと金融緩和政策を強化することは理にかなった動きだ。

 日本の場合は失業率が既に3.3%まで低下しており、むしろ供給制約が問題化している。供給制約の下では大企業の国内回帰もままならず、その結果、円安の恩恵が中小企業などに行き渡らない状態が続いている。最近ではむしろ円安による物価上昇が家計を苦しめ、消費者態度指数が低下するような状況だ。

 他国との競合を考えれば、少なくとも輸出企業には円高阻止、円安が必要と考えられるが、日本経済全体を考えれば、ユーロ圏ほど通貨安、つまり金融緩和の必要性は高くない。

 日本銀行の対応には注目が集まるが、現時点ではユーロ圏の追加緩和の蓋然性の方が高く、債券利回りも欧州の方が日本より下がりやすいといえる。

(SMBC日興証券シニア金利ストラテジスト 野地 慎)