今年の内定式、無事に開催できるか不安だった採用担当者も少なくないはず

 10月1日を迎え、内定式を無事に終えた企業がある一方で、例年のような内定式を迎えられなかった企業も少なくないようです。

 HR総研が行った「2016年度新卒採用動向調査」をみても、16年卒採用での内定辞退率は、企業の規模にかかわらず、増加傾向にあることが明らかになっています。同調査で2015卒と比較した内定辞退率の増減予想を聞いたところ、従業員数1001名以上の大企業でも39%が「内定辞退は多いだろう」と回答し、301~1000名の中堅企業では48%もの企業が「多いだろう」と予測しています。

 未だに採用人数が目標に達していない状況にあるため、内定式を延期するなどの措置をとる企業もあるようです。

 また一方で、内定式には出席したものの、「本当にこのままこの企業に就職をしていいのか」といった、ある種の「納得感不足」を感じている学生もいるはずです。実際、10月以降も引き続き採用活動を進める企業があるということは、極端な話、今後も就職活動を継続することが可能といえば可能なわけです。

 そこで今回は、こんな内定辞退に対して企業はどう向き合っているのか、実態も含めてご紹介していきましょう。

「決める瞬間」に人は最も悩む!
内定式で気持ちが揺らぐケースも

 私自身、これまで学生から既卒の若年者まで、実に様々な方の就職決定の瞬間に立ち合ってきました。その中で実感しているのは、「人が最も悩むのは“決める時”」ということです。

 ひとたび就職活動を始めれば、エントリーシートや履歴書、面接などは、勢いやモチベーションで乗り切ることが可能です。

 本連載でも取り上げている俗に言う「内定フィーバー」などで、内定を取得した途端に不思議と内定獲得が相次ぐといった状態もあり、就職活動をきっかけに大きく成長していく方も多いものです。

 しかしやはり最終的に就職先を決定するというのは、誰しもが悩む瞬間です。新卒学生だけに限ったことではなく、例えば紹介予定派遣で派遣社員から正社員への切り替えをする場合や社員登用などでも同様のことが起こります。