ロボットを使い、生き生きと暮らす
キーワードは「コンビビアリティ」

 ただ、前述のように書くと、「また博覧会的な催しが開かれるのか」と想起されるでしょう。その理解は半分正しく、半分間違っています。この協議会が目指している構想の意義が、半分程度しか伝わないことになります。

 この協議会設立に際して、私がキーワードとして掲げるのが「コンビビアリティー」conviviality)です。一般的になじみの薄い言葉ですが、オーストリア出身の思想家イヴァン・イリイチ(1926~2002年)が提唱した概念で、日本語では「共悦」「共愉」、つまり“みんながワイワイ楽しく、生き生きとしている様子”を言います。

 これまでのロボットのイベントといえば、エンジニアが腕を競い合うコンテストといったように、エンジニアの、エンジニアによる、エンジニアのためのイベントとして開催されている側面が強かったように思います。考えてみれば、私たちの生活において、ロボットは映画やアニメで親しんでいる割に、ドラえもんのように寝食を共にしているわけではありません。アメリカでは軍事用、日本なら産業用といった形で使われてきたのが、主な実用シーンでした。

 今回、お台場などで展開される企画では、コンビビアリティを大事にして、ロボットと触れ合うことが主眼です。意識においているのは、協議会の名称でもあるユニバーサルな社会。すなわち、ロボットの力を借りて、障害の有無、言語の壁を取り払い、誰もが生き生きと(コンビビアルに)生活できる社会です。

 そこでの主役は人です。公共交通機関がほとんどない山村に住むお年寄りを自動運転の車が運び、足に障害を抱えた人やお年寄りがアシストスーツを着て移動しやすくなります。翻訳ロボットが外国人に道案内や観光案内をすることもできるでしょう。聴覚障害者と健常者のコミュニケーションが円滑になる手助けにもなります。

 このプロジェクトには、慶應義塾大学の田中浩也准教授、東京大学の山中俊治教授、千葉工業大学未来ロボット技術研究センターの古田貴之所長といった国内の第一人者の方々に、副会長としてご参加いただきます。田中さんは、3Dプリンタによる新しいものづくりを世界に提案されています。山中さんは、プロダクトデザイナーとして自動車から時計、ロボット、義足などをを多彩に手がけて来られました。そして、古田さんは災害などの場で障害物を乗り越えるロボットを開発、原発内部で作業をするロボットがメディアで紹介されていますので、彼の開発した機種を見たことがある人もいらっしゃるはずです。

 なお、もう1人の副会長は為末大さんにお引き受けいただき、社会でのロボット技術の役割について、2020年以降のソーシャルデザインの観点から提言いただきます。