ASEANでの不動産投資は08年ごろからマレーシアでブームとなり、その後、タイ、フィリピンへと人気国が移っている。カンボジアも完成物件はまだ少ないが、中心地での大規模マンション開発が進んでおり、14年にイオンモールの1号店が完成した人気エリアでワンルームが1500万円ほどで購入できる。

少ない手元資金で
飛び付くとリスクが大きい

 とはいえ、新興国への投資はリスクが付き物。価格が手ごろだからと飛び付くと、後で痛い目を見ることになる。例えば、マレーシアでの不動産投資が活発だったころ、新築マンションに投資した日本人が少なからずいた。マレーシアでは14年3月から一部の地域を除いて外国人の不動産投資は最低100万リンギット(約3300万円)に引き上げられたが、当時は50万リンギット(約1650万円)から買えた。1割程度の値引き販売をしている物件もあったし、購入価格の8割程度まで融資を受けられたので、約300万円の手元資金でも手が出せた。

 だが、東南アジア諸国では建設着工あるいは完成前のプレビルドの状態でマンションが販売され、完成までに2~3年はかかる。値上がりを期待して目いっぱい融資を受けて物件を購入しても、完成時には相場価格が下がっているリスクもある。その場合は転売せずに取りあえず賃貸してインカムゲイン(賃料収入)を狙うことになるが、物件供給が多いと借り手が付かない危険性がある。その結果、転売益は得られず、賃料収入もなく、ローンの返済だけがのしかかってくることになる。新興国はローン金利が高いので、その返済はばかにならない。まさに泣きっ面に蜂だ。

 そうしたリスクを考えると初心者がいきなり海外不動産投資に手を出すのは得策とはいえない。

 ただし、余裕資金があり、長期的な資産形成を考えるなら海外不動産はやはり魅力的だ。

 国内での不動産投資経験が豊富で、海外ではこれまで金融商品で資産運用してきた税理士の上村一司さん(仮名、50代)は、「子供の将来のことを考えて、海外不動産投資を始めた」。タイ、フィリピン、カンボジアなどでプレビルドのマンションを購入したが、「長期的な資産形成の一部としてやっているので、急いでたくさん買わず、分散しながら投資している」。

 上村さんは物件を購入する前に何度も現地を訪れる。気になる物件はデベロッパーがどこかを聞いて、その会社が建てた物件を見に行く。「建設途中ではなく、完成後何年かたった物件を見れば、品質や技術レベルがよく分かる」。

 新興国での不動産投資にはいくつかの注意点があるので、ダイヤモンドQ編集部がまとめた「失敗しない新興国不動産投資6カ条」をぜひ参考にしてほしい。