専門家が語る「毒親」の見分け方
心の中に住むインナーチャイルドとは?

 それでは、毒親にならないためにはどうすればいいのか。自分が毒親だと気づく術はあるのだろうか。

 東京吉祥寺で15年以上にわたってカウンセリングを行うセラピストの大澤富士夫さんは、「カウンセリングに来る人の苦しみの元は、本人が気づいているいないにかかわらず、100%親との関係に起因している」と指摘する。人間は親との関係を元にして自我をつくり上げる。親にきちんと受け止めてもらった人は自我が安定し、他人との関係においても「相手を受け止める」ことができる。しかし、支配的な関係を親に強いられた人は、自我が安定せず、他人との関係において「支配するか」「隷属するか」のどちらかのスタンスを取るようになってしまうという。

 また大澤さんは、「親自身の人生に余裕がなければ、毒親になる」と話す。この場合の「人生の余裕」とは、経済的な余裕や社会的な地位とは関係がない。親自身が人生を楽しみ、自分を尊重していることが大事なのだと言う。

「自分を尊重できる人は、他人も尊重できる人です。逆に自分を尊重できない人は不自由で、常に安心を求めている人。子どもの意志を尊重することもできない。そもそも親子は『親』と『子』という役割があるだけで、本来人間として平等です。自分を尊重できない人にはそのことがわからず、子どもにも意志があることを理解できません」

 親が子どものために「自己犠牲」を選ぶ姿勢はときに美化されることがあるが、「親が自己犠牲をしていると、子どもにもそれを強要するようになる」と言う。「私はあんたのために離婚せず、我慢したのに」と子どもをなじるような例が典型的だ。

 虐待は連鎖するという話は有名だが、親から抑圧を受けた子どもが親となったとき、その子どもを抑圧してしまう理由について、大澤さんは次のように説明する。

「人の心の中にはインナーチャイルドがいます。子どもの頃に理不尽な目に遭った人は、その小さな子どもが悲しんでいたり怒っていたりする状態です。そうすると、自分の子どもが生まれたときに、インナーチャイルドと子どもが『ライバル関係』になってしまうのです。子どもが幸せそうにしていると、インナーチャイルドがそれを阻止しようとする。自分が満たされなかったのに、なぜこの子どもが幸せなのかと憎むのです。親が子どもに『お前のためだから』と言って子どもの意志に反することを強要したりすることがありますが、これも本当は、子どもに幸せになってほしくないからです」