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起こすコツはあるのか?
2009年に出版された『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海、ダイヤモンド社)の続編が出ると聞くと、「是非読みたい!」と思う読者が多いのではないか。「柳の下のどじょう狙いだろう」などと言うなかれ。オリジナルは、280万部の大ベストセラーだ。出版社にとっては、仮に前作の10分の1の部数でも、「どじょう」ではなく「うなぎ」くらいの、ご馳走となるはずだ。
筆者は幸運にも、12月5日発売(と出版社が言っている)の「もしドラ」続編の「パイロット版」を拝読することができた(ダイヤモンド・オンラインに連載を書いていると、いいことがある!)。パイロット版なので、今後内容が変化する可能性があるという前提でだが、一足早く「もしドラ」の続編(以下「もしイノ」。版元はこう呼んでほしいらしい)の「読みどころ」を、いわゆるネタバラシにならない範囲でご紹介しよう。
さて読者は、12月5日発売の「もしイノ」をいかに早く手に入れるか、どこの書店に予約するか、浮き足立っておられるかもしれないが、筆者の思うに、読者が書店に行って最初になすべきことは、ピーター・F・ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」(上田惇生訳、ダイヤモンド社)を購入するか、予約することだろう。
そう、「もしドラ2」の正式名称(予定)は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら」なのだ。「もしイノ」が発売されたあかつきには、ドラッカー本人が書いた「イノベーションと企業家精神」を手に入れたくなる読者が相当数発生することが予想される。「本は紙で読みたい」という方は、なるべく早く手に入れておくほうがよかろう(なお、電子ブック版もある。「もしイノ」も同様)。「もしイノ」発売までには少々間があるので、本家の著書で予習しておくのもいい心掛けだ。
それにしても、ドラッカーには数多くのネタがあるわけで、「マネジメントの次は、イノベーションで来たのか」と筆者はやや意外な気がした。イノベーションは、経営者ならずとも、それを起こしたいと誰しもが思うものだ。政府も「成長戦略」にあって期待している。しかし、それは偶然ないし、幸運によって生まれるものであって、意図的に引き起こすことが難しいもののような印象がある。
一方、「イノベーションとは意識的かつ組織的に変化を探すことである」と、ドラッカー先生の本には書かれているのだが、果たして、どのような意識と組織(的アプローチ)がこれを可能にするのか。もっと直截に言うなら、イノベーションを起こすための「コツ」や「型」というものはあるのだろうか。
著者及びドラッカーは、「ある」と言っているようだ。