「トップのための経営戦略講座」(野村マネジメント・スクール)で教鞭をとるデビッド・モス教授
(c)野村マネジメント・スクール

 2つめは、歴史は「ビジネスリーダーが正しい判断を下すための良き練習材料」となることです。

 ある意味、歴史を学ぶことは、野球のバッティングを練習するのに似ています。バッターは毎回、試合でヒットを打てるわけではありません。それを知っているからこそ、バッターは試合前も、バッターボックスに立つ寸前も、ひたすらバットを振る練習をするわけです。

“Preventing Regulatory Capture: Special Interest Influence and How to Limit It”(ダニエル・カーペンター編、デビッド・モス編、Cambridge University Press, 2013). 『規制の虜』についての豊富な事例や『規制の虜』に陥らないための防止策を提言している

 同じように過去の事例を数多く学べば、その分、リーダーとして決断する訓練をすることができます。どのような歴史的背景が大きな決断につながったのか。なぜそのような決断を下したのか。リーダーの立場から考えることができます。つまり学生にとってはとてもよい予行演習となるのです。

 たとえば、1人の人間が生涯で大きな金融危機を経験するのは、せいぜい1~2回でしょう。しかし、過去の金融危機を見てみれば、どのように危機から立ち直ったのか、どんな政策上の決断が最も効果的だったか、を学ぶことができます。歴史から学んだ知識は、将来危機が起こったときの備えとなるのです。