衛星についても、ロケットと同様である。やはり欧米に対してマーケットの獲得においては大きく後退しているものの、衛星の設計寿命、ミッション達成に関わる技術力などを活かし勝負している。

 三菱重工業は、衛星事業の経験は浅いものの、小型衛星事業に本格的に乗り出すという。小型衛星の開発から打ち上げ、運用までを総合事業化するとともに、小型衛星の運用による情報の収集、提供サービスについてビッグデータ処理を軸に事業化する。

 小型衛星は、大型・中型衛星に比べ開発・製造コストを大幅に削減することが可能であり、仕様や信頼性を適切な範囲に設定できる設計コンセプトなどを有していることがメリットである。また、比較的低価格である小型ロケットの活用や他衛星との相乗りによる打ち上げにより、打ち上げコストを大幅に削減することができる。そのため、プロジェクトが失敗した場合の損失も小さくて済む。

 小型衛星は様々な価格帯があるが、1機約10億円規模を1つの目安とすれば、民間企業を十分にターゲットにすることができる。民間企業が複数の衛星を打ち上げ、これらが連携するコンステレーション運用(*1)を行い、地上をセンシングするなどして、これを事業に生かす。

 このように、世界と同水準のコスト競争力を持つロケットや衛星の開発を、日本も進めている。一方、それとは別の方向で攻める動きもある。

国際宇宙ステーションの危機を救った
日本のロケットの高い信頼性

 2015年8月19日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」5号機を搭載した「H-IIB」ロケット5号機が、打ち上げに成功した。これは、国産ロケットの高い技術力と信頼性を世界に大きくアピールした、非常に大きな出来事であった。

 宇宙ステーションは、滞在している宇宙飛行士の食料、科学実験や各種任務のために必要な機材、装置などの物資を定期的に届けることが必要不可欠である。2014年10月、米国のオービタルATK(Orbital ATK)社の「アンタレス」(Antares)、2015年4月、ロシア連邦宇宙庁の「プログレス」(Progress)、さらに6月、米国スペースX社の「ファルコン9」(Falcon9)が、宇宙ステーション補給機を搭載して打ち上げられたが、なんと3回連続失敗となってしまった。

 この危機的状況を回避したのが、日本の三菱重工業のH-IIBロケットであった。

「こうのとり」5号機を打ち上げたH-IIBロケット5号機(左)と、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングする「こうのとり」5号機(右)
出所:JAXA
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 日本のロケットは、獲得しているマーケットの規模が小規模ながらも、ここぞという世界の危機的状況という場面で力を発揮し、存在力を高めている。

(*1)コンステレーション運用:一つのミッションを達成するために、複数機の衛星を軌道に投入し、協調して運用すること。