「この決議に意味はない」
と書いた「愛媛新聞」の気概

 今、話したように、10月9日に愛媛県議会が伊方原発の再稼働に同意しました。議会が再稼働に同意という、トンデモナイことが進行している真っただ中にあります。

 でも、その翌日の「愛媛新聞」の社説がすばらしいのです。
 なぜかと言うと、「この再稼働同意決議に意味はない」と書いている。これだけはっきり書く地元紙は、原発のある県ではめずらしいです。

「愛媛新聞」が書いている言葉の、大事なポイントを言います。
 1つ目は、県議会で審議したというけれど、参考人として呼んだのは、原発を推進し、今のゴーサインを出してきた原子力規制庁、経済産業省、四国電力、原発推進論者しか参加していないから、これは審議になっていないと指摘している。

 2つ目は、県民の意志が一番に大事ですが、「愛媛新聞」が、今年2~3月のアンケート調査で、県民の69.3%が再稼働に反対していることです。
 私は、6割くらいかと思っていましたが、もう7割ですからね。この数字には私も驚きました。
 これは、ただ増えたのではなく、多くの人の活動によって原発の危険性が広く伝えられ、ここまで数字があがった成果です。愛媛県は、私も何度も訪れてきました。元々かなり保守的な人たちが多いのですが、ここまで反対する人が増えたことは、希望ある大きな変化です。

 3つ目は、これが大事なのですが、安倍晋三が「大事故が起これば責任を持って対処する」と語ったこと。これからお話ししますが、フクシマ原発事故の被害者に対して、救済をまったく何もやっていない人間、安倍晋三が! ですよ。

 何もやっていないどころか、放射能まみれの一番危険なところに福島県民を戻そうとし、賠償金のカットを進めているわけですから、「人殺し」しかやっていないわけです。そういう人非人の行為を平気でやっているのが、日本の総理大臣だ。そんな人間の言葉を、愛媛県の中村知事が、「この言葉を評価する」と言ったのです。一体、中村時広はどこを見ているのだ、と。このように根拠のないデタラメを言うな! と。

 4つ目が、佐田岬半島のつけ根に伊方原発があるので、大事故になれば、住民はどうしますか?

 ノコギリの歯のように伸びたその岬の先にいる人は、海をはさんで、向かい側が九州の大分県ですからね。海底地震で大事故が起こる可能性が高いのですから、海が荒れて、住民は絶対に逃げられない。その人たちは、どこに向かって逃げるかというと、放射能が放出されている伊方原発の前を通って、松山方面に逃げていくほかない。つまり、死に向かって避難することになる。
 その避難方法を「具体的、合理的と判断している」と、日本政府が言っているのです。そんなバカなことがあるか。逃げられるはずがないだろう、と。

 5つ目が、県民が要求している公開討論会をやれ、勝手に決めるな、と。当然でしょう。中村時広知事が再稼働の必要条件として「地元の同意」と言ってきた地元とは、地元の住民ではなく、県知事や県議会・町議会、あるいはそれらの首長の同意であって、肝心の県民の声を聞いていない。自分が正しいなら、正々堂々と、公開討論会を開け、ということだ。

 愛媛新聞がこれだけのことを列挙して、社説ではっきりと、「再稼働する資格はない」と書いている。実に頼もしい。そして今、このような状況を生み出したのは、すべてみなさんの努力の賜物です。