今年10月30日の2015年度第2四半期決算では、増収増益を達成したと発表したNTTドコモ。昨年は新料金プラン導入で減収減益となったのが一転した。11月には新たなポイントサービス「dポイント」も打ち出し、今月1日に開始したばかり。今、ドコモに何が起こっているのか。同社の阿佐美弘恭取締役常務執行役員に話を聞いた。(聞き手/フリーライター 西川留美)
ドコモのポイント参入を
後押しした「3つの財産」
――今月から始まった「dポイント」ですが、なぜドコモがTポイントや楽天スーパーポイントなどライバルが多数いる「ポイントカード」の領域に踏み込んだのでしょうか。
NTTドコモ 阿佐美弘恭取締役常務執行役員。経営企画部長 光ブロードバンド事業推進担当。
キャリアならではの強みを生かせると考えました。
まず、後払いであること。たとえば、dマーケットでは、提携しているサービスと契約していただいたり、ショッピングで買ったりしたものを、電話料金と合算してお支払いいただくこともできます。
次に、ショップを持っていること。対面でdポイントのカードをお勧めすることもできるし、キャリアですからスマートフォンの上にサービスのアイコンを載せてお渡しすることもできます。
さらに、店頭で端末をお買い上げいただいた後にお客様に了解いただければ、我々のサービスのアイコンをiPhoneやAndroidに載せてお渡しすることができます。これら3点がキャリアの持っているビジネスアセットで、大きな強みです。
――キャリアとしての強みをどうサービスに生かすのでしょう。
ドコモにはさまざまな財産がありますが、中でも一番は「お客様個人から直接お金をいただいていること」だと考えています。
私は長らくNTTの持株会社にいましたが、NTT東日本などの固定網は、世帯とつながっているけれども、「どんな人とつながっているか」はわかりませんでした。一方、モバイルは個人につながっていて、個人の決済手段にリンクしています。
10年以上前に私がドコモに来た時、一般の人たちがネットでお金を払う現金やクレジットカードなどのお金の流れを、モバイルに取り込めたらすごいだろうなと思っていました。でも、当時はまだ、お客様の「見える化」は進んでいない状況でした。