戦略読書で自らを2年でつくり変えよう。1000時間の投資を!

 本を読む効用って何でしょう。「2ヵ月で絶対痩せる」とも「結果にコミットする」とも言えません。でも、「2年あれば自己改造は可能」です。新しい腹筋をつくり上げるのには、最低2ヵ月間、38万円(*4)がかかるとしましょう。では、新しい頭脳をつくり上げるには?

 その意欲さえあるならば、「丸2年間、730日」でなんとかなるでしょう。これからみなさんが2年で読む200冊が、きっとそれを実現します。かかるお金は買うか借りるか次第ですが、全部新刊を買ってもおそらく20万円足らず。減量よりは、お安いものです。

 もちろん、時間はもっとずっとずっとかかります。本の厚みや読むスピードにもよりますが、1冊平均4時間として、全部で800時間。でも通勤(*5)・通学電車の中でのスマートフォンとの時間を、朝夕半分ずつ(つまり30分×2)振り向けるだけで年500時間は捻出できるはず。あとは、ランチタイムに10分、寝る前に15分の読書、を毎日続ければ、もう300時間強が生まれます。

 週末だけに頼ると、多分崩壊します。週末は、2年で104回しかないので800時間確保のためには、毎週末8時間弱を読書に費やす必要があります。そのためには、好きなゴルフやゲームをきっぱりやめる、などの大きな犠牲が不可欠です。

 戦略読書に踏み込むためには、まずは、戦闘資源の確保から。といっても、最近われわれがFacebookやLINE、ゲームに捧げてしまっている時間を、半分、読書に戻すだけでいいのです。それだけで、1日平均80分の読書時間が生まれるはず。

 そしてそれを上手に振り分け(読書ポートフォリオ、シフト)、割り切って読み(セグメント別読み方)、多くの発見をする(5つの視点)こと。自己改造は、その継続の結果に過ぎません。

 読書には戦略が必要でした。人と同じことを言っちゃうツマラヌ人に、ならないために。読書とは素晴らしいものでした。人と世界、人と自分とに橋をかけ、脳を鍛えて心を豊かにし、「メタ認知能力」を与えてくれ、人生の諸先輩を凌駕するための道具ともなってくれます。

 読書には戦略が存在しました。何をいつどう読むかという「戦略読書」によってわれわれは、自らのオリジナリティを磨き、効率を上げることができるようになるでしょう。そして、われわれは初めて、しなやかで強レジリエント靭なキャリア(人生)を手に入れられるようになるのです。

 それは決してビジネスの話だけに留まりません。「ビジネス=今メインでやっていること」と読み替えれば、NPO職員であろうが公務員であろうが、専業主婦(主夫)であろうが同じです。読書を仲間に、新しい世界へ。

「なぜ」私がこういったことを考えるようになったのかが気になる方は、新刊『戦略読書』の楽章1からどうぞ。「読書が私をどうつくり上げてきたのか」という超個人的ストーリーを綴っています。本100冊を友にした、44年前の福井県立病院がそのスタート地点です。(第3回に続く)

*4 2015 年6 月現在、ライザップの料金(入会金と2ヵ月16回分の税込価格)。
*5 東京都内に通勤する子持ちサラリーマンの平均通勤時間は58分(アットホーム、2014年)。