2015年は数々の新しいテクノロジーが芽を出し始めた感があったが、2016年はそれがどんどん成熟していく年になるだろう。新年を占うテクノロジートレンドの中から、いくつかの顕著なものを拾ってみよう。

現実世界にバーチャルな映像が飛び込んでくるのがAR(拡張現実)の特徴(マジック・リープが先頃公開したビデオ。www.magicleap.com/より)

1.VRとARがビジネスの随所に
 かつては奇妙な技術だと見なされていたVR(バーチャルリアリティ)とAR(オーグメンテッドリアリティ)は、もはや特別なものではなくなった。映画、テレビ、ゲームなどのエンターテインメントだけでなく、不動産、医療、農業、工場など、ビジネスのいろいろな場面でVRやARの応用が期待されている。この分野で勝負を挑むスタートアップも続々と出てくるだろう。

2.IoTとビッグデータ
 ハードウェア新製品としてのIoTには、まだ完全に納得のいく決定打的な製品が出てこない状態だが、そこからビッグデータを収集してデータ解析を行い、質の高いサービスへ返還するというビジネスプロセスには説得感が出ている。その意味では、消費者向けの新製品よりも、産業向けの既存製品のIoT化の方が早く離陸するだろう。

3.ドローンがいよいよ本格的に実用化へ
 注目を浴びている新テクノロジー、ドローンは、2016年にアメリカのFAA(連邦航空局)が商用利用に関する規制を確定する予定だ。配達、警備、見守り、調査、報道など、いろいろな用途が期待されているものの、現実的に実用化されなければ利点や欠陥は見えにくい。それが具体的に把握できるようになる日が近い。

4.ブロックチェーン技術への注目
 ビットコインを成り立たせている背景技術のブロックチェーン技術は、ビットコインを超えてさまざまなプラットフォームで多様な用途を持つはずである。医療、クラウドファンディング、金融サービス、音楽サービスなどでの可能性が議論されている。ビットコインで危険性ばかりがフィーチャーされてしまったが、ブロックチェーン技術自体への取り組みが始まるだろう。

5.どこでもAI
 アップルのシリ、OKグーグル、そしてマイクロソフトのコルタナなど、AIが一般ユーザーの相手をしてくれることが多くなったが、それ以外のいろいろな生活の場面でAIが登場してくるだろう。カスタマーサービス、医療サービス、教育、パーソナライズされたショッピングなど、AIがぐっと身近になる。またスマートフォンの中の個別アプリケーションがますますつながり、リマインダーや予測機能が増える。