日銀は、金融危機対応として実施してきたCP(短期社債)や社債の買入を年内いっぱいで停止する方向で検討しているとの報道が相次いでいる。
それに対して亀井静香金融担当大臣は、「そういう段階にない。時々日銀は寝言みたいなことを言う」(朝日新聞)と10月6日に激しい口調で批判した。
亀井大臣が提唱している中小企業の借入金返済猶予策を推し進めるには、大前提として、金融環境は非常事態だという認識が必要だ。しかし、日銀はまったく逆の方向を向いているように見えるため、大臣の逆鱗に触れたのだろう。
とはいえ、CP・社債買入オペの停止議論に関しては、メディアで話が大げさになり過ぎているように思われる。
金融機関にとってそれらのオペを使うニーズはすでに大幅に後退した。たとえば、9月18日に日銀は3000億円のCPを買い入れると通知したが、応札はゼロだった。使われていないものを止めても金融市場や企業金融への影響は実際はほとんどないだろう。
金融機関が日銀にCPを売らなくなったのは、企業のCP発行金利が劇的に低下したからだ。
昨年暮れに2%超の水準へと高騰したA1格ノンバンクのCPは、今は0.15%程度。現在の金融市場では、CPの金利が低下し過ぎている点が逆に問題視されている。