“少女像問題”で合意を潰してはならない
それでは挺対協を喜ばせ、国益を損なう

 慰安婦とその関連団体の強硬な反発にもかかわらず、韓国の国民世論は比較的冷静である。

 主要メディアの反応は一言で言って「全面賛成ではないが、合意自体は評価する」というものである。ギャラップや、中央日報の世論調査でも合意反対がそれぞれ56~58%ほどであるが、そもそも日本に関する世論調査では“日本が嫌い”というのが7割ほどというのが通例である。韓国人であれば、日本が好きというのは憚られるという建前があるからで、本当は嫌いではない。この点から類推すれば、韓国の一般国民の合意への評価はそれほど悪くないと考えられる。

 挺対協とそれに近い団体に属する元慰安婦は、償い金を受け取らない可能性がある。しかし、他の多くの慰安婦が受け取れば、多くの国民はこの合意によって慰安婦問題が最終的に解決したと納得するのではないか。その意味でも、日本として韓国の多くの国民が反発し、朴大統領の国内説得を難しくさせるようなことをしてはいけないと考える。

 特に日本では、“少女像が日本大使館前から撤去されるまでは韓国政府の作る慰安婦基金に10億円を拠出するべきではない”との議論があることを懸念している。

 少女像の撤去は韓国の国民世論が現状において最も反発する部分である。韓国政府は現在この合意で国内説得に苦労しているところである。少女像の撤去まで同時に国民を納得させる余裕はない。撤去は合意が履行され、慰安婦問題が解決したと韓国国民に納得させてから、説得してもらう以外ないであろう。その時には、抗議の象徴として慰安婦像が大使館の前に置かれる必要はなく、あくまでも記念碑として慰安婦博物館にでも移転してもらうべきである。

 10億円の拠出に抵抗する場合には2つの問題がある。

 第一にそれを喜ぶのは挺対協である。挺対協はこの合意によって自分たちの運動が萎んでいくことを恐れている。しかし、これを自分たちが潰せば朴政権と正面衝突することになる。日本が少女像の撤去を合意履行の条件とすれば合意は潰れるであろう。日本が合意を潰してくれれば、日本を叩く格好の材料になる。そして、今後いっそう少女像を各所に設置していくことであろう。