2月第1週に発売された『週刊現代』の見出しに目を奪われた方も多いだろう。「中国『爆買い禁止令』の衝撃」――。今、それがWEB版でも拡散し、ちょっとしたパニックにもなっている。
ちらりと読んでみると、今年の全人代で爆買いを禁止する「お触れ」が出るとか出ないとか。これが本当ならばひとたまりもない。爆買いを商機と見込んで行った投資が水泡に帰すというわけだ。
「週刊誌の言っていることだから」と話半分で受け流す読者もいる。実際、情報をリークする「在北京ジャーナリストの李大音氏」という存在は日本人説もあり、とても怪しい。
爆買いにストップをかけるには銀聯カードに利用制限を設けることが効果的だが、銀聯関係者からは「引き出し制限はあっても買い物に制限がかかるとは聞いていない」という。
だが、何をするかわからない習近平政権だけに、「いったいどうなるのか」という懸念は払拭できない。
爆買いの実態は
「転売品の代理購入」
爆買いは果たしてご法度となるのか。それにはまず、中国がこの爆買い現象をどう受け止めているのかについて把握することが先決だろう。
昨年の流行語大賞にも選ばれた「爆買い」。日本発祥のこの言葉は、中国でもすでに「爆買(ibaomai)」という単語にもなり、中国語としても定着するようになった。日本のみならず香港や欧州など、今や世界各地で繰り広げられる中国人旅行客による「大量購買」だが、中国側から見れば、国産品の販売を停滞させ税収低下をもたらし、大きな損失となる。
その爆買いの中身だが、実は4割が「代理購入(以下、「代購(daigou)」)だといわれている。友人や親戚の頼みに応じて、あるいはネット販売に出品する業者の依頼を受けて、旅行者が大量に買い付けを行うというものである。分かりやすくいえば「個人仕入れ」「個人転売」行為である。