中国では「春節」の大型連休に入り、いつものごとく訪日観光客が押し寄せている。だが、中国経済の減速と足元の円高で、その爆買いの勢いも鈍るのではと懸念される中、日本製品の次の購入ルートとして脚光を浴びているのが、「越境EC(エレクトリックコマース)」だ。
越境ECとは、中国国内の個人や企業がインターネットを介して、海外の個人や企業と商品取引を行うことをいう。その成長ぶりはすさまじい。取引額は2013年3.2兆元(前年比58%増)、14年4.2兆元(同33%増)で、15年は5.5兆元(同31%増)と推計されており、16年も20%以上伸びると予想されている。
急伸の背景には、中国人は欧米・日本・韓国製品に対する憧れが強いことがある。「中国の消費者は、同じ中国製でも輸出品の方が品質が高い、日本製の最高級品は日本でしか手に入らないと信じている」(劉瀟瀟・三菱総合研究所研究員)。しかも、多くの商品は実店舗より3~5割も安い。
企業参入で新局面
越境ECのはしりは、外国旅行に行く親戚や友人、留学生に外国の商品購入を頼む代購(代理購入)だった。第2段階ではアリババグループの淘宝(タオバオ)を利用した代購が盛んになる。ここまでは個人同士の取引であるCtoCが中心だ。一昨年あたりから、企業が参入して第3段階に突入、このBtoCの取引が、越境ECの成長を加速させている。