今や8社が参入
まず目指すのはフランス

 茨城県の統一ブランドとして世界に発信する「豆乃香プロジェクト」の次のステップは、県内の納豆メーカーへの参加の呼びかけだった。

「県を含めてみんなのプロジェクト的にしたほうが、ニュースとして大きくなると考えました」と寺杣さん。豆乃香開発のきっかけを作った朝一番としても「1社で展開するよりも、数社がまとまってアイテムが増えることはスケールメリットがある」と考えた。

 茨城県納豆商工業組合通して参加を募ったところ、反応は微妙なものだった。「粘らない納豆なんて…」といぶかしがるメーカーもあるなか、「邪道かもしれなくてもチャレンジとしては面白い」と手を挙げたメーカーもあった。

金砂郷食品社長の永田由紀夫さん。海外留学生も採用し、輸出拡大に力を入れる

「話を聞いて『やります』と二つ返事で答えました」と語るのは常陸太田市にある金砂郷(かなさごう)食品社長・永田由紀夫さん。同社の前身は「くめ納豆」ブランドを展開する「くめ・クオリティ・プロダクツ」。業界3位だったものの価格競争により業績が低迷し、2009年、110億円の負債を抱えて倒産。民事再生手続きを申請し、従業員によって新たに、金砂郷食品としてスタート。執行役員だった永田さんが副社長(当時)に就任した。くめ納豆ブランドはミツカンに引き継がれ、オリジナルの商品展開を始めたところだった。

「再建にあたって、海外向けの商品プランの構想を練っていました。今後、人口減少社会を迎え、国内で大幅な販売拡大は望めない。今後頭打ちになっていくなかで、どんどん輸出に打って出なければと考えていました」

「納豆の原料である大豆にはまず、栄養素が8つあります。それが納豆になると、さらに10種類も増える。納豆は18の栄養素がひとつで食べられる、ものすごいスーパーフード。この健康効果は絶対に海外で受け入れられるはずです」と永田さん。豆乃香はまさに、自社の「起死回生」の起爆剤になると期待をかけたのだ。

「雪静 豆乃香」。北海道産のブランド大豆・ユキシズカを使い、素材の味をいかして作り上げる (C)Hiroshi Shiiki, Tad Hara

「糸引きの少ない納豆」で海外を目指すべく、7社(現8社)のプロジェクト参加が決定。各社が自社のオリジナル「豆乃香」商品を作り上げた。朝一番は北米産有機大豆を使った「豆乃香レッド」「ホワイト」、金砂郷食品では北海道産のブランド大豆ユキシズカを使った「雪静 豆乃香」を完成させた。

 さらに、筑波大学の原忠信准教授と学生のチームによって、豆乃香の統一ロゴも作成。おしゃれなロゴにはどこにも納豆という文字はない。

「あくまで日本初の『新たな大豆発酵食品』としてPRを展開しようと考えました」
(寺杣さん)

 そもそも納豆を知らない外国人に、「粘りの少ない納豆」などといっても意味不明なのである。

「MAMENOKA ~Fragrant Soy Beans From Ibaraki Japan~」

 そのまんまの名前で、お披露目先として検討された国はフランスだった。「ブルーチーズなど発酵食品に慣れていて、とりあえず匂いに対して寛容かも」という理由だ。「粘りを少なくしたので、匂いさえ許してくれれば食べてくれるのではと」という悲願である。

 PRするなら、ドカンと大きく。協議会はフランス・リヨンで開催される世界最大級の外食産業向け展示会「Sirha2015」(シラ国際外食産業見本市)への出展を決定した。

※この続きはダイヤモンド・オンラインで3月4日(金)に公開予定です。

<取材ご協力>
朝一番

金砂郷食品