日本住宅公団をルーツとする都市再生機構(UR)。管理する既存の賃貸住宅は約76万戸にも上る「世界一の大家」であり、民間では困難な都市開発整備を担う“官”主導の不動産開発業者でもある。天下りの多さや関係法人との不透明な取引が指摘されているが、真の“再生”への道は遠い。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本猛嗣)

旧態依然の“伏魔殿”の実態
不透明な契約や天下り
いまなお根強いOB人脈

 都市再生機構の略称はUR、アーバンルネッサンスの略であり、パンフレットには「街に、ルネッサンス」という宣伝文句が躍る。

 しかし、その実態はどうか。あるURのOBは「かつての街づくり(ニュータウン)事業は公共事業的な意味合いも強く、国土交通省からの天下りや関係法人へのOB再就職は当然のことながら、政治家の横やりや建設業者の談合、地上げ情報に絡む賄賂など利権の巣窟のようなありさまだった。組織も巨大で、職員でさえも実態がよくつかめない」と打ち明ける。

 詳細は後述するが、複雑で不透明な組織運営に加え、URを中心に、かつては政、官、民の利権の構造が構築されていた。URが「伏魔殿」といわれるゆえんだ。

 URは、政府や省庁の事業を分離して設けられた独立行政法人の一つ。独立行政法人は本来、公共性の高い事業を効率的に行うための組織だが、官僚の天下りや、関係法人との不透明な契約の多さが指摘されている。URはその代表格というべき存在だ。4月の行政刷新会議による事業仕分けの対象となったのは、記憶に新しい。

 上の図を見てもらいたい。URは、日本住宅公団をルーツとし、5つの公団が統合を繰り返して、2004年に設立された。事業は賃貸住宅を中心に、都市再生(既成の市街地の整備・改善業務)、ニュータウン(市街地の整備業務)の3部門からなる。

 総収益約1兆円。総資産約15兆円と「大手町の大家さん」である三菱地所の3倍以上、職員数も約4000人と大京の約3倍にも上る。団地などの賃貸住宅では、比類なき約76万戸という「世界一の大家さん」である。