思いをズバッと伝えられないくらいなら、強面でいる方が何倍もマシだ
私も悩んでいた。前の会社では「男性みたいになっている」と思われるのが嫌で、包み込むようなやわらかさでマネジメントしようと努めていた時期。笑顔を保って、ソフトな雰囲気を作ろうと努力したが、なかなか答えが見えなかった。周りに気を使いすぎて、結果的に組織を壊してしまった。
トップであるにもかかわらず、毅然とした態度を貫けずゆらいでいた私を、マネジメント層の女性社員たちは見て、その姿勢を真似していたとしたら彼女たちにも申し訳ないと思うし、もしそれで組織がゆるんだなら、大失敗になろう。
もちろん、トップであろうと、やさしそうな雰囲気を醸し出すのは大切だ。必要以上の緊張感はマイナスだからだ。でも、ニコニコするだけは実にならない。思いをズバッと伝えられないくらいなら、強面でいる方が何倍もマシだ。
厳しいことを言うようだが、自分が周囲に好かれたいからといって、本来言うべきことを言わない姿勢は、会社に対しての背徳行為にもなりかねない。マイナスの評価を受けるに値するとも思う。根本に「嫌われたくない」気持ちがあるのはわかるけれど、すべての人に好かれようとしても、物事はうまく進まない。組織のミッションに従わない人には嫌われても良い─そう思うくらいでありたい。
軸を貫くためには、「嫌われても構わない」という強い意思を持ってほしい。気を使う=美徳だと捉えるのは間違いだ。マネジメントの一手法として気を使うことはあっても、「気を使うから〜を言えない」となるのは本末転倒だと、失敗を経てきた
からこそ思う。