サントリーに肉薄された三つ目にして最大の理由は、独自のフランチャイズ(FC)システムに限界が訪れていることにある。これは根本的な大問題であり、日本コカ・コーラのOBは「コカ・コーラは組織構造上、サントリーに勝てない」と明かす。

一枚岩になれない
原液ビジネスが抱えるジレンマ

 簡単にコカ・コーラの組織を説明しよう。コカ・コーラは、独自のFCシステムを世界中で展開している。日本では、日本コカ・コーラ(CCJC)が商品の原液を販売し、FC契約を結ぶ6社のボトラーが、原液を購入して担当地域で商品の製造・販売を行う。

 4月26日に統合交渉入りが発表されたコカ・コーライーストジャパンとコカコーラウエストは、両社で国内のコカ・コーラ製品の80%以上(数量ベース)を占める2大ボトラーだ。

 また、冒頭のCCCMCは、CCJCとボトラー6社の共同出資会社で、地域ごとに営業を行うボトラーではカバーし切れない全国規模の小売店への販売を担当している。

 最終商品が売れるほどに、CCJCもボトラーももうかるシステムなのだが、成熟市場で過当競争下の日本において「CCJCとボトラーの利害が一致しなくなっている」(CCJCのOB)。

 原液を売るCCJCは「量が出る」ことが重要なのに対し、ボトラーは「量を追求すると値下げを余儀なくされ、その費用がかさんで赤字になる」(ボトラー関係者)。

 CCJCはボトラーに「インセンティブ」と呼ばれる販売奨励金を支払って値下げ費用の一部をかぶり、“生かさず殺さず”の支配を続けてきた。

 過当競争が進むほど値下げ圧力がかかり、インセンティブ負担が増す。耐えかねたCCJCは「自分たちの利益目標の達成を優先すると、十分なインセンティブを支払えなくなった」(CCJC首脳)。

 サントリーは一枚岩で値下げ原資の販売促進費を投下し、価格競争を仕掛けてくる。値下げ費用を賄い切れない各ボトラーは対抗できず、シェアを失ったのである。

 量を追求すれば値下げ競争でボトラーが泣き、価格を守れば量がさばけずCCJCが泣く。いずれにしろ、どちらかの利益が減る。

 このジレンマから抜け出したいコカ・コーラは昨年、「価格ガードレール」と呼ばれる事実上の値上げ戦略を導入した。安売り競争では勝ち目がないと判断し、過当競争そのものを是正しようという試みである。

 確かに、過当競争が是正できれば、ある程度の販売数量を保ったままインセンティブの支払いに頭を悩ますこともなくなる。2リットルペットボトルが500ミリリットルのそれよりも安価な競争環境は異常で、価格を是正しようという試みは、至極まっとうな判断ではある。

 ただ、「トップを目指す」と公言するサントリーに手綱を緩める気配はなく、逆転の好機とされかねない。“天敵”サントリーの足音は近づくばかり。王座は風前のともしびである。