トップを譲るつもりはない
ボトラー東西統合はサポートする
ティム・ブレット(日本コカ・コーラ社長)インタビュー

ライバルのサントリーに猛追され、業界トップの座が危うい状況の中、どう戦っていくのか。米本国から送り込まれたティム・ブレット社長に日本市場に対する認識と起死回生策を問うた。

ティム・ブレット/1968年英国生まれ。ザ・コカ・コーラカンパニー中央・南ヨーロッパ地域ディレクター、日本コカ・コーラ副社長を経て、2013年より現職。
Photo by Kazutoshi Sumitomo

──世界最大の飲料企業であるザ・コカ・コーラカンパニーにおける日本市場の位置付けは。

 日本は重要なマーケットです。世界第3位の経済大国で、本社に占める売り上げや利益の比率も高い。

 日本で多くの利益を生める背景には、市場の特殊性があります。例えば、収益性の高いチャネルである自動販売機。他国にも自販機はありますが、日本ほどのスケールで展開されている国はありません。

 商品ポートフォリオも特徴的です。他国では「コカ・コーラ」などの炭酸飲料がわれわれのコア商品です。しかし、日本では収益性の高い商品である缶コーヒーの「ジョージア」やスポーツドリンクの「アクエリアス」など、非炭酸飲料が7割以上を占めています。

 それに加えて、この国には優れた現地のパートナー(ボトラー)がいます。私が外国人だからかもしれませんが、ビジネス上でも生活上でも日本は素晴らしい国ですね。

──しかし、ビジネス上では、サントリー食品インターナショナルにシェアで肉薄されています。

 サントリーの話はしたくありません。そもそもシェアは指標の一つにすぎません。売上高や収益性など企業を評価する指標は他にもあります。価格を下げてシェアを取ったところで意味がありません。

 重要なのは、マーケットの成長です。われわれは業界のリーダーとして市場価格の安定化に努めていきます。長らく過当競争によるデフレが続く飲料業界ですが、市場が変わるまで安定化戦略を続けます。

──サントリーにシェアで抜かれても構わないのですか。

 No! 市場のリーダーであり続けることがコカ・コーラの使命です。トップの座を明け渡すつもりは毛頭ありません。

──強みであった自販機ビジネスにも逆風が吹いています。

 私は、自販機チャネルの売り上げの減少は下げ止まると確信しています。自販機では適切な価格で適切な商品を売る必要があります。つまり、コストと商品構成です。場合によっては、値上げが必要かもしれません。

──値上げするとさらに売り上げが落ち込むのでは。

 確かに、量販店との価格差は大きくなります。しかし、自販機には利便性がある。イノベーションにより自販機の魅力を高められれば、まだまだチャンスのあるチャネルだと思います。魅力の維持は、われわれ(日本コカ)だけでなく、ボトラーの仕事でもありますが。

──ティム社長の責任範囲はグループのどこまでなのですか。

 私の責任範囲は、あくまで日本コカの目標達成です。

 しかし、それは6社のボトラーとの深い関係によって成り立っています。コカ・コーラのフランチャイズシステムは素晴らしいビジネスモデルです。ボトラーが赤字に陥るようなことがあってはなりません。

 東西のボトラーの統合に関して、最終的に判断するのはボトラーで、私は答える立場にありませんが、統合により市場でより効率的な運営ができるのであれば、われわれはサポートしたいと思っています。

>>『日本コカ・コーラ、ボトラー東西統合に見る限界(下)』を読む