この春、カドカワグループがN高等学校という高校を開校した。バーチャルリアリティを駆使した入学式の模様はニュースでも紹介されたので、ご覧になった方もいるだろう。沖縄県伊計島に本校を持つN高校は広域通信制高校。学校教育法1条に定められた、れっきとした高校で、3年間で高卒資格を取得することができる。

ネット学習が基本だが、生徒一人ひとりに担任がつき、生活面も相談できる体制をとっている。多彩な課外授業が、N高校の魅力だ

 授業はインターネットを使って行い、パソコンやスマホで自宅学習をする仕組みだ。

 教科書会社大手の東京書籍が制作した映像教材を使っており、レポートの提出もすべてオンラインである。登校は年に5日のスクーリング(面接や職業体験)のみ。とはいえ、映像やネットを使った通信制高校自体は、さほど珍しいものではない。1963年開校のNHK学園高校を始め、日本全国に数多くの学校がある。

 そうした通信制高校とN高校の違いは何か?それは、通常の授業にプラスされた「課外授業」にあると言ってもいい。

 運営母体となるのは、カドカワグループのドワンゴ。97年に設立されたITサービス企業だ。N高校では、ドワンゴの新人研修をベースにしたプログラミング授業を無料で受けることができる。ニコニコ動画のようなシステムをイチから作成したり、スマホアプリを開発したり、ウェブサービスを立ち上げて公開したりと多彩なカリキュラムが用意されている。

 日本全国で行われる職業体験に参加することもできる。他にも現役作家が講師を務める文芸小説創作授業、ライトノベル、ゲーム、イラスト、アニメーションなどの授業もある。まるで専門学校か職業訓練校のようなラインナップだが、これには理由がある。

「ドワンゴでは、ニコニコ動画などの自社コンテンツを通して若者たちと日々接しています。そういったデジタルネイティブの子どもたちが、自分から行きたいと思える理想の学校や教育を提供したい。そう考えて設立しました。IT企業だからこそできる、教育のIT化を進めていきたいと思っています」(ドワンゴ宣伝部)

 確かに今の中高生は生まれた時からネットに囲まれた環境で育ってきた世代だ。場所の制約を受けないネットなら、万人単位の生徒を一度に相手にすることもできるし、その分、ひとつの授業に手間をかけることができる。