介護はアイデア商売
発想の転換が重要と感心した

Photo by Masato Kato

──漫画を読んでいると、認知症高齢者への対応とか、非常に具体的であり、参考になります。介護現場への取材の機会も多いと思いますが、印象に残ったエピソードはありますか。

 実際に、漫画に描いたシーンの中で、かたくなに入浴拒否をする認知症女性に対し、主人公である少年が本を読ませている間、頭にシャンプーを付けて、「もしかしてフロに入っている途中?」「頭にシャンプーついてますけど……」と声を掛け、上手に入浴させてしまうという様子があります。

 これは実際に介護現場の方に聞いた話を参考にしたものです。その話を聞いたとき、介護の仕事というのは、発想の転換が重要であり、アイデア商売なんだなと、とても感心しました。

──まさに、コミュニケーションの問題ですね。

 こんな話も聞きました。外に出ていこうとして、言うことを聞かない認知症高齢者を小さなお孫さんが上手に引き留めたというんです。「おじいちゃん、雨が降るみたいだよ」と、声を掛けて。

 当然、認知症対応マニュアルなどを読んだこともない小さな子供です。それが相手を思いやる言葉一つで引き留めてしまう。介護というと、カオスで、ものすごく複雑な世界のように感じますが、意外と発想を変えれば、根っこは単純なのかもしれません。

 認知症の方は、ちょっとしたスイッチを入れるかどうかで“行動異常”が抑制されることも多いと聞きます。