>>(上)より続く

 さすがの優一さんも堪忍袋の緒が切れ、2度目の過ちを看過することはできず、とうとう離婚を決断するしかありませんでした。口約束ではなく、わざわざ誓約書を書かせたにもかかわらず、平気で破るような相手を信用するのは到底、無理なことです。もちろん、妻は「三度目の正直」と平謝りし、泣きつき、許しを乞うてきたのですが、優一さんは躊躇せずに一蹴したそうです。

 そして離婚の条件ですが、優一さんの場合、途中で作成した誓約書が功を奏しました。正直なところ、白紙の状態から条件を詰めようとしても、妻は親権を握ろうとするでしょうし、百歩譲って親権を優一さんに渡したとしても養育費を払おうとしないでしょう。自分の借金で離婚せざるを得なくなったけれど、慰謝料も当然、渡そうとしないはずです。

 このように離婚条件を一から改めて話し合うのは相当に骨が折れますが、実際には過去の誓約書があり、妻も自ら署名してしまった手前、「あのときとは気が変わったから」などと翻意することは難しく、最終的には誓約書に書いたのと同じ条件で離婚することとなったのです。

<江越優一さんのケース>
1.夫 33歳(年収400万円)
2.妻 35歳(年収220万円)
3.子どもの年齢 7歳
4.離婚後の父子家庭の住まい 家賃8万2000円のアパート
5.子どもの想定進路 小学校(公立)、中学校(公立)、高校(公立)、高校卒業後(就職)
⇒決定した養育費 毎月4万円を18歳まで


親権か養育費か
虚言癖がある虐待妻との離婚

「『養育費を払ってほしい』と妻に切り出してしまっていいものかどうか……すごい悩んでいます。とにかく金に汚いタイプなので、そのせいで機嫌を損ねて『やっぱり親権が欲しい』と言い出したらと非常に困るんです」

 原口文人さん(28歳。宮崎市在住)はすでに夫婦間で何度も話し合いを重ねており、離婚すること、文人さんが親権を持つこと、そして文人さんの付き添いを条件に妻と子どもたちの面会を認めることは、一度は合意に至ったようです。