グローバルな人材が求められている今、英語力を身につけることは必須。語学のみならず、主体性や積極性を習得できるアメリカ留学について、米国大使館に聞いた。
日本と大きく異なる受験システム
コミュニティカレッジから4大へ
百合・アン・アーサー
カリフォルニア大学サンディエゴ校で学士号、ジョージタウン大学で国際ビジネスのプロフェッショナル・サーティフィケートを取得。在米日本大使館、全日空を経て米国商務省に入省。慶應義塾大学に留学経験がある。
アーサー 日米では、まず、大学の受験方法が異なります。アメリカにもSAT(Scholastic Assessment Test)というセンター試験に相当するテストが存在しますが、何回でもトライできます。
また、アメリカの大学には、学校別の試験がほとんど存在しません。日本の場合、志望大学別に対策を立てて勉強しなくてはいけませんが、アメリカは志望大学を絞らなくて良いため、数多くの大学を受験することが可能です。
SATの成績以外に受験時に求められるのが志望動機を綴ったエッセイです。「なぜ、本校でなくてはいけないのか」を表現しなくてはいけません。今まで自分が与えられた環境の中で、最大限努力してきたことがエッセイで証明できれば合格できます。エッセイは、テストの結果という数字では表せない、自分の魅力を語るために用意されているのです。
大学に出願する際のアプリケーション(願書)は、基本的にオンラインで出願します。ほとんどの大学が同じ会社と契約をしていて、自分の住所など基本情報を記入する欄は共通。学校別の項目のみを追加で記入するようになっており、非常にスムーズに複数の大学に願書が提出できるシステムになっています。
大学受験時に学部や専攻を決めなくて良いという点も日本との大きな違いです。アメリカにも倍率の高い学部もありますが、入学後2年間の成績で学部を選択することになっています。また、アメリカの大学は、2つの専攻を選ぶことも副専攻を選択することもできます。大学4年時に、もう一つ専攻したいと思えば、その時点で専攻を追加することも可能です。アメリカは、大学別や学部別の試験がないため柔軟性があるのです。
市が認定する2年間のコミュニティカレッジで一定の単位数と成績を取得すれば、公立や私立の大学に転入が可能です。カリフォルニアのコミュニティカレッジのプログラムはとても有名で、優秀な学生はバークレーやUCLAへ転入しています。
まず、コミュニティカレッジに入学して英語力を高め、アメリカのペースに慣れてからUCLAへの転入を目指す日本人留学生は数多くいます。コミュニティカレッジは学費も安いですし、現実的な留学モデルといえるでしょう。