ヤル気のない新入社員が生まれる
教育現場の問題とは?

 いったい何が、新入社員のキャリア形成や、能力開発の意欲を減殺させているのだろうか。新入社員になるまでの間の、どのタイミングで、それを低下させてしまっているのだろうか。

 私は、首都圏や地方都市で、小学校、中学校、高校の教員や、大学生や大学院生に対して、スキル開発やモチベーション向上を促すための分解スキル・反復演習を実施している。演習の状況や結果を見る限り、小学校教員から大学院生に至るまで、バラツキはあるものの、参加者は総じて高いパフォーマンスを発揮していることを肌身で感じている。

 特に、小学校、中学校教員のレベルは、高校教員よりも一段と高く、標準的なビジネスパーソンよりも高いくらいだ。文部科学省主導のアクティブラーニングが浸透している結果と考えることができる。小学校、中学校教員のパフォーマンスが高いのだから、児童・生徒のスキル開発やモチベーション向上意欲も高いであろうことは、容易に想像できる。

 一方、大学生や大学院生に対して、分解スキル・反復演習を実施すると、とまどいを感じる参加者が多い。そして実施後、感想を聞くと「小学校時代のアクティブラーニングのプログラムを思い出した」という意味の返答に接したことがある。

 もちろん、私が経験した限られた事例からではあるが、せっかく小学校、中学校でアクティブラーニングの効果が出ていたのに、高校や大学では機会が限られているのではないかと推察される。

 アクティブラーニングは、スキルやモチベーションの向上をするには非常に良い手法だ。しかし、高校や大学でそうした機会を持たないまま新入社員になったために、モチベーションが減退してしまい、キャリアや専門能力を高める気持ちはないなどと答えるようになってしまっているのではないだろうか。

 そして、ダメ押しとなるのが新入社員研修である。私は大企業のみならず、中堅企業や外資系などでも、数多く新入社員研修のプログラミングや実施サポートを経験してきた。そして、多くの企業で行われている新入社員研修のありようが、新入社員のモチベーションを粉砕していると感じるのだ。

・上司の指示に反してはいけません。反した場合、試用期間中に契約解消せざるを得ません

・ただいま読み上げた就業規則に違反してはいけません。さもなければ処罰されます

・人事異動にあたっては、個人の希望は通りません。人事異動は会社の命令事項です

・社会人となったからには、個人プレーは許されません。チームワークを大事にしなければなりません

・自由に提案書を作成することはできません。必ず、上司の確認、法務部の確認を取らなければなりません。

・自分が受講していない研修資料は、決して事前に見てはいけません。研修は受講者を評価するためのものですから、公平性を期さなければなりません。

 いずれも、企業における新入社員研修で指示されている実例である。最後の、「研修は受講者を評価するためのもの」という一文については、私は全く異なる見解を持っている。研修は、受講者の能力を向上させるものであるべきだ。

 しかしそれ以外は、一見、間違ったことは言っていないように思えるかもしれない。上司の指示に従うことも、就業規則を守ることも、人事異動が会社命令であることも、チームワークが大事なことも、提案書の確認も、いずれもあたりまえのことだろう。