図4~5には、ヨーロッパ諸国の移民人口、移民人口比率、移民人口の増加を、移民人口計とそのうちEU内からの移民人口(EU域内生まれの人口)とについて図示した。

 2015年初の移民人口総数で見てヨーロッパの移民大国は、ドイツ、フランス、英国であり、これに、スペイン、イタリアが続いている。

 移民が多いこの5ヵ国の中で英国は、移民人口比率が13.0%と最も高くなっている。もっともドイツは12.6%、フランスも11.9%とそう大きな隔たりはない。EU内からの移民人口については英国は309万人とドイツの401万人より100万人ほど少なく、比率でも4.8%とドイツの4.9%よりやや低い。なお、スイスへの移民はEU域内からを中心に人口の4分の1以上を占めて特段に多くなっているが、これは、ドイツ、フランス、イタリアといった周辺の先進国からの移民が多く(2013年に3割以上)、ドイツや英国、フランスとは内容が異なっている。

 ただし、2014年を通じた移民人口の増加については、総数はドイツの40万人を下回る38万人であるが、ポーランドなど東欧からが中心のEU域内からの移民人口の増加は28万人とEU諸国の中でも特段に多くなっている。ここらへんが、英国民にとって、EUに所属しているゆえのデメリットと感じられる大きな原因になっていることがうかがわれる。なお、緊縮財政が強いられ景気が落ち込み、失業率も高止まりしているスペインやギリシャでは移民人口はむしろ減少しており、英国が、代わりに移民の受け皿になっている側面もあろう。フランスはEU域内と言うより、アフリカ・中東などEU域外からの移民の増加が多くなっている点が異なっている。

 まとめると、12年前にEUに組み込まれた東欧からの移民が増えている点を除けば、EUの他国と比較して、特に英国で移民問題が深刻とは認められない。EU離脱を選んだ国民投票結果にとって、移民問題が決定的だったというより、やはり、もともとEUとの一体性の感覚が薄く、見方によってEUの不始末ともとれる社会問題がEUのそもそもの欠陥に見えてしまう傾向が英国民の中に根強かったというのが真の原因なのではなかろうか。