知られざるアインシュタインの脳とは?

 アインシュタインの脳を調べる研究が進み、最近になって衝撃的な脳画像が公開されました。

 D・フォークが2009年に「アルバート・アインシュタインの脳についての新しい情報」を、2012年に、D・フォークらが「アルバート・アインシュタインの大脳皮質:今までに発表されていない写真の記載と予備分析」などを報告したのです。

 これらに発表されたデータから、「アインシュタインの前頭葉」を紹介します(出典:“New Information about Albert Einstein's Brain.”「Frontiers in Neuroscience,2009;1:3」by Dean Falk)。

 下記を見てください。

 Aが前頭前野を「」から撮った画像です。
 Bが前頭前野を「」から撮った画像です。
 Cが前頭前野を「」から撮った画像です。

これが、20世紀最大の物理学者<br />アインシュタインの脳画像だ!

 アインシュタインの脳は、普通の人より大きいことが特徴的です。

 A、B、Cの太く赤い線が「中心溝」ですが、普通の人より長くて、くねくね曲がっています。

これが、20世紀最大の物理学者<br />アインシュタインの脳画像だ!久保田 競
(Kisou Kubota)
京都大学名誉教授、医学博士。世界で最も権威がある脳の学会「米国神経科学会」で行った研究発表は、日本人最多の100点以上にのぼり、現代日本において「脳、特に前頭前野の構造・機能」研究の権威。2011年、瑞宝中綬章受章。1932年、大阪生まれ。著書に、『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『赤ちゃん教育――頭のいい子は歩くまでに決まる』『あなたの脳が9割変わる!超「朝活」法』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。

 アインシュタインは、6歳のときから終生、バイオリンを引いていました。

 長期にわたって、弦を指で動かしたために大きくなったと思われます。

 長くなった中心溝は、ギリシャ文字のΩ(オメガ)がひっくり返った形から、「逆オメガ・カーブ」と呼ばれています。

 脳外科で脳の手術をするときに、逆オメガ領域を電気刺激したら、指が動いたという報告があります。

 アインシュタインは、日々、数を使って考えることをしたために、側頭・頭頂連合野(後部頭頂皮質)で数の処理をする下部頭頂皮質も普通の人より大きいことが報告されています。

 神経細胞の数や繋がりが増え、大きくなり、よく働いたのだろうと思われます。

 子どものときにうまくしゃべれなかったことが、よい影響を与えたのか、悪い影響を与えたのかはわかりませんが、アインシュタインほど数を使えば、彼の脳と同じほどの大きさになり、同じほど働くようになると思われます。