東京都は人口と産業が集中して税収の大きな地域だ。中央政府と東京都、さらには東京都と地方との主として中央政府を通じた富の移転に対してどのような考え方で関わるかという問題も重要だ。このポイントでは、都民有権者一人一人に「何がフェアか?」という分配論の問題の価値観が問われる。

 思想信条および、それを都知事としての権限にどう反映させるつもりかも重要だ。例えば、学校行事で教師が君が代を歌うことは必須なのか否か。同姓の実質的な結婚に対して寛容なのか、禁止的なのか、といった諸問題について、米国民が大統領選挙で問題にするように、都民は都知事候補の考え方を知りたいはずだ。筆者は、意見の違いに寛容な人がいいと考えるが、知事に思想的にも強い指導力を発揮してほしいと考える都民もおられよう。外国人に対する方針なども重要だろう。

1つ2つの項目だけで選ぶのは横着すぎる

 さて、各項目を、例えばゼロを中心に最高を+5、最低を−5とする5点刻みくらいで評価してみよう。

 次の問題は、それぞれの項目に対してどのくらいのウェイトを与えるかだ。

 新入社員を採用する場合の面接も、初期の段階はこうした段階を踏むことが多い。項目別に評価して、総合点を「A」とか「B+」といった調子で評価して、役員面接など次のステップに候補者を回して行く。

 ただし、採用の場合、最後は、「この人物は自分たちの仲間にふさわしいか」という観点からの、思い切って言うなら、好き嫌いによる評価になることが多く、それで成功することもあれば、失敗することもある。

 東京の有権者の知事選びも、実質は好き嫌いによる人気投票になる公算が大きいと思われるが、手掛かりがない場合の評価材料として、あるいは後の反省材料としても、例えば、エクセルで表を作って、評価項目のウェイトを変えつつ候補者別の総合点を計算してみてはどうだろうか。

 実は、多くの場合、人は、不確実性の大きな物事を決める場合、一つか、せいぜい二つくらいの評価ポイントに頼って物事を決めがちだ。しかし、「都知事選びには、何が一番大事ですか?」という質問に一つだけ答えて、都知事候補を評価しようとするのは、横着なのではないだろうか。複数の項目を立てて総合評価をしてみると、いつもとは違った比較の景色が見えて来るのではないか。

 そして、過去の実績に照らし合わすなら、今回の都知事選では、多くの有権者都民が「いつもとは違う選び方」をする必要がありそうだ。